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「……ただお礼を言われただけだったんだがな」
過去の思い出を振り返りながら1人ボヤく。
2年に上がるとやはり部屋のメンバーはガラリと変わってしまった上に、元同室者は2年B組で僕はF組。
教室自体も端と端と言っても過言ではないほど離れてしまったし、BとFでは合同授業で一緒になることもなく、自然と疎遠になってしまった。
校内でたまに姿を見かけることはあっても、わざわざ自分からは話し掛けにいかない。彼の友人が隣に居るなら尚更だ。
あの出来事は今でも僕の胸につかえたままだった。
「…あれ。僕いつの間にこんなとこまで」
気付くと、僕は寮から体育館まで歩いてきてしまっていた。考え事をしながらだったせいか、全然気が付かなかった。
僕としたことが…
ここはグラウンドも近い。こんな所にいたら部活中の僕の大嫌いな今の同室者に出くわしてしまうかもしれない。
さっさと戻ってあの汚いパンツをゴミ箱に捨てよう。もちろん手袋をしてだ。そのあとソファーを除菌しよう。あいつは顔だけはさっぱりとした見栄えのする顔をしている癖に本当にズボラで好きになれない。
過去を思い出していたせいで、唐突に昔の同室者に会いたくなった。
都合よくこんなところに居るわけない。彼は僕と同じで部活には入っていなかった…とは思いながらも一片の期待を込めて辺りを見回していると、まさかの会いたかった彼がいた。
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