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織田とやいのやいの言い合った後も何が喜んぶんだ…一体何が…と悩み過ぎた結果、もう本人に直接聞く事にした。 可愛い彼女でもなし、サプライズに期待なんかしてないだろ。 だがその前に—— 「律!」 「ん〜?なあに、智ちゃん」 またもや織田が先に出た後にタイミング悪く律が部屋まで迎えに来てしまったので、ちょうどいいやと玄関で抱き付いてみた。   「え…なに? どしたの?」 あとなんだっけ。…あ、笑顔か。 俺の突然の奇行に驚いている律を見上げ、満面の笑みを作った。 「誕生日おめでとう」 「! ……」 ほらみろ。固まってる。 この役割が織田だったなら律だって頬を染めるぐらいしただろうが、残念ながら対象の頬に紅潮は一切ない。 反応を待っていると、少しして律の右手が動いた。 来たぞ。この右手が俺の額に持ってこられることは想定の範囲内…… 「これが今年のプレゼント? 珍しく可愛いことしてくれるんだねえ」 「ぎゃ!?」 右手は額に上がることはなく、何故かするりと俺の腰に回ってきた。もれなく左手も。 しかもゆっくりと体のラインに沿うような動きにギクリとする。 「り、律…?」 この感じ、アレじゃない?甘えて抱き付く彼女または彼氏に応える男の顔じゃない? え、やだやだ!友達のそんな顔なんて正直見たくないんですけど! つーか俺に男の顔見せる意味がない。 「玲哉に見つかったら怒られちゃうよ?いいの?」 「うっ…嘘嘘!嘘に決まってんだろ!」 「馬鹿だなあ、智ちゃん。もう遅いのに」 「いひゃ…!?」 回ってきた左手が腰の敏感な部分を撫で上げる。くすぐったくて変な声が出た。 「この後どうする?もう今日は授業さぼっちゃおっか。玲哉に内緒で、朝から背徳感たっぷりのエッチでも、してみる…?」 「ぎゃーーー!?無理無理!ごめん!ごめんなさい!俺に男の顔見せないでぇぇぇっ」 低い声で囁く甘い台詞に鳥肌が立って、俺は全力で律の腕を振り解いた。 あっさり解かれた拘束に、離れた距離で「あれ?」と顔を上げると、律が意地悪そうに笑っていた。

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