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Ⅰ章 在りし日の歌①

神の住む天界 高天原 俺は高天原大学に通う三年生 就活は必要ない。 就活は下賤の神が行うものだ。 首席で卒業すれば下界 葦原中国の国産みをする栄誉が与えられる。 高天原大学きっての秀才と称される『神世七代』の俺からすれば、首席など造作もない事。 しかしっ! 「精液をどうやって調達すればいい?」 種のない精液では分析できない。 このままでは『不可』がついてしまう。 となれば首席の座も危うい。 レポートの提出期限は明日 アァ、学食のカレーと揚げ出し豆府(トウフ) 俺的最強コンビの大好物の味すら分からない。 ソースをかけるがダメだ。 ……あっ、揚げ出し豆府にかけてしまった♠ ネット通販にもない。 オークションの出品もない。 極秘裏に入手しなければ。 「精液はどこにある?」 「俺ので良ければ、差し上げましょうか」 ポンッ 背後から肩を叩かれて…… 「先輩」 振り返った視線の先 柔らかな栗色の髪と、(すみれ)色の瞳の青年がいた。 …………誰、だ? 俺を『先輩』と呼んだけれど、俺は彼を知らない。 「ねっ♪」 ぎゅっと握った手 ガタン 椅子を倒して、引っ張っていく。 おいっ、どこに連れてくんだァっ?

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