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Ⅳ章 ファシニティ×アンダーグランド①
「手錠は外せない」
布団にヒィを寝かせて、俺の浴衣も直してくれたけど。
「どうしてっ」
浴衣を羽織ったウイは視線を背けた。
バタンッ
乱暴な悲鳴を扉が上げたのは、その時だった。
「高天原公安警察だ。禁止薬物不法所持の容疑で家宅捜査する」
なぜ公安がッ
禁止薬物って何の事だ?
「待て。イザナミは高天原大学 風紀部が身柄を拘束した。イザナギについても大学で取り調べる。お帰り頂きたい」
ウイ?
「貴様は公安に楯突く気か!」
「YESって言ったら、どうする?オッサン」
飛びかかってきた隊員をウイが投げ飛ばしたのを皮切りに雪崩れ込む公安
「貴様も逮捕だァッ」
眠るヒィに覆い被さった俺に拳が降り下りる。
「汚ない手で、俺の嫁に触んじゃねェェーッ!」
隊員の体が宙に吹っ飛んだ。
懐かしい薫りがした……
菫色の、恋い焦がれた瞳
ポンっ
「待たせて、ごめんな」
頭の上に降ってきた掌が、髪を撫でた。
「ナミとヒィは俺が守るから」
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