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Ⅳ章 ファシニティ×アンダーグランド②

ナギ! どれだけ待ったと思ってるんだ どれだけ心配したと思ってるんだ どれだけ泣いたと思ってるんだ どれだけ……どれだけ…… 「逢いたかったと思ってるんだっ……」 逢いたかった……ナギ!! 「ナギッ、俺はッ」 「ごめん、ナミ。やっと生成できたんだ」 言いたい事は山程ある。 でも…… 「禁止薬物って」 「これだ」 青いカプセル 「どうして、そんな物をっ」 「お前とヒィを救う事ができるから」 菫の瞳は揺るがない。 これは、生きながらにして死者の国 黄泉(よみ)に行き着く事ができる薬 「生きる者が黄泉へ行ってはならぬ決まりは知っている。だから禁止薬物だ」 今から、この薬を使う。 「どうしてっ」 「お前とヒィは、テロメア異常だから」 遺伝子構造の中で、寿命を決定するテロメア 「お前とヒィは、テロメアが極端に短い」 それはつまり、残りの命が短いという事 治療はない。 テロメア異常は不治の病だ。 「ナミは、いつ倒れてもおかしくない状態だ」 ……まさか 「ヒィはまさかッ」 「ナミを失いたくないから、神通力で年齢を入れ替えたんだ」 黙したナギに代わって、答えたのはウイだった。 高熱にうなされるヒィの呼吸は荒く、汗で髪までぐっしょりしている。 ……ヒィが苦しいのは、俺のせい。 「……裏技使う」 菫の玲瓏が微笑んだ。 強く、優しく 不釣り合いなくらい、柔らかく…… 「死者は黄泉に行く。黄泉の国が入国を受け入れなければ、お前達は高天原でこれからも暮らせる。 だから。 交渉してくるよ」 この薬を飲んで 「ダメだッ!」 生きながらにして黄泉へ行った者は、生きていても…… 戻れない。 この国に帰って来られない。 「イーヤーだーねー♪」 ぷに~ 頬っぺたを両手で摘ままれて…… 「俺、ズルイ夫だから」 チュッ 頬に唇を落とされる。 「ヒィの事、頼んだぞ」 これからも、ずっとずっと一緒にな。 ……俺はもう、いないけど。 俺の代わりに、いつかヒィがナミを守ってくれるよ 「幸せにな」 突如として、唇は塞がれた。 俺がナギにキスしたから。 「俺はワガママな嫁だ」 こんな俺を選んだのは、ナギ お前だろ? 「ナギ一人で黄泉には行かせない!」 二人の口の中で、青いカプセルが真っ二つに割れた。

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