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第6話
当たり前に二つ並んだ枕。女の子が好きそうなアロマの残り香。先週末には彼女を愛したであろうベッド。
何一つ隠す気の無い室内には、俺の存在を見つける事なんて出来ないくらいに完成してる。
「ん、はあ…。蓮さん、きもちい?」
「気持ちいい…っ、雪弥、奥に…っ」
ゴムなんて付けてないソレから雪弥の体温がダイレクトに伝わって、ローションまみれの接合部からは下品な音がひっきりなしに溢れる。
揺さぶられながら腕を回した雪弥の背中はうっすらと汗ばんでいた。
浅く息を吐くその顔から、もっと余裕を無くしたくて、グッとお腹に力を込めて中を締め付けると、眉間にシワが寄って綺麗な顔が歪んだ。
あっ、と雪弥が短く声を上げて荒っぽく俺の肩を抱く。
「蓮さん、締め過ぎです…出ちゃいます…」
「ふ、う…っ、あっ、すご…」
どくん、と。
体内でソレが脈打つのが分かった。
もっと、もっと、もっと。
ちゃんと俺で気持ち良くなって。
逃がさないとばかりに両手で腰を押さえてガンガンと打ち付ける雪弥が、今この瞬間俺しか見えてないように錯覚してならない。
寂しい。つらい。もうやめたい。雪弥から離れてる間はそんな言葉が頭を埋め尽くすのに、こうやって熱を感じればすぐに気持ちは揺らいでしまう。
「あっ、やばい…、ーーーーー!」
「ひ…っ、あゔ、ゆきや…!」
いっそのこと、モノみたいに自分の欲求だけを満たせばいいのに。
絶頂に達するために速度を上げながら俺自身をしごくもんだから、センチメンタルに浸っていた俺はまんまと現実に引き戻されて、欲の高ぶりに飲み込まれた。
「ん、はあ…はあ…」
ニセモノの愛が注ぎ込まれる。
空っぽの俺は底なしで、ニセモノは空気みたいに掴めなくて。
いくら繋がっても満たされない。
息を吹き込まれたシャボン玉みたいに、形を成したかと思えば次の瞬間には空気に消える。
全部全部分かった上で、
俺は雪弥が愛おしくて堪らないんだ。
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