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きみの笑顔があればいい
《こんなところにすみません、作者です。
公開から1ヶ月ほど経ちました。沢山の方に読んで頂けてとてもとても嬉しいです!!ありがとうございます!
ここからは1ページ毎にタイトルを付けて読み切りにいたします。今後ともどうぞよろしくお願いします》
二次会を回避して帰路につく途中、見慣れた背中が目の前を歩いてるのを見つけた。行き先はきっと俺と同じ。
スマホを弄りながらゆっくり歩く後ろ姿を見ていたい気持ちと、声を掛けたい気持ちが入り混じる。
もう少し見ておこう。
イヤホンをコートのポケットにしまいながら距離を取りつつ後ろを歩く。蓮さんは通勤中音楽を聴いたりしない。あんまり興味がないのかと思ったけど、前に家に行った時に昔買ったやつ、ってロックなCDがどっさり出てきて結構びっくりした。人は見かけによらないな。
あ、見かけによらないといえば、蓮さんはあんなクールな見た目をしているのに、女子社員に話しかけられると普通に話す。冷たい訳でもなく、もちろんセクハラ親父みたいにヘラヘラする訳でもなく、爽やかにこやかに会話する。
それがまあ、女子の間で大人気なんだ。
俺としては心配でならないけど。
蓮さんは俺にだけニコニコしてれば良いと割と本気で思ってる。
前までそんなの気にならなかったのに、恋のチカラはすごい。俺のモノって思った途端、外野が邪魔でしょうがない。
「あ」
「びっくりした…。声掛けろよ」
バレちゃった。
信号待ちで立ち止まった蓮さんが不意に後ろを振り向いて、俺の尾行は呆気なく失敗。
別に遂行したところで何も無いけど。
隣に並んだ蓮さんが、お疲れって笑った。
「俺、女に嫉妬されるのとか怠かったんですけど、今すごい気持ちわかります」
「何急に。」
「蓮さんは俺のものってことです。」
「バカか。」
そうやって、照れ隠しするところとか。
俺からの愛が嬉しくて仕方ないって顔とか。
蓮さん、耳が赤いのは寒いから?
「ジロジロ見るな」
「じゃああんまり可愛い顔しないでください」
するとしたら、俺の前だけにしてください。
蓮さんを笑わせるのも泣かせていいのも、俺だけですからね。
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