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一緒にいたいだけですよ、他に理由がありますか

昼下がり。雲ひとつない青空で、文句無しの程よい気温が心地いい。 こんなに天気が良かったのは久しぶりで、洗濯物を干したついでにマンションのベランダに出て深呼吸をした。 気持ちいいなあ。どうして太陽ってこんなにも元気をくれるんだ。 今日は蓮さんとお花見でも行こうかって話してて、もう直ぐ到着するであろうその姿を地上に探す。 蓮さんとのお花見は今年でもう3回目で、もともと出不精な俺らが目的を持って昼間から外を歩くなんてほぼお花見だけ。 それでも何だかんだ毎年行っちゃってるから、春が近づくと桜開花のニュースがつい目に付いてたり。 「こんな天気良いと結構混んでそうだなあ」 「うわ!びっくりした…」 マンション下を眺めてたはずがいつのまにかぼーっと空を見上げてて、ベランダに出てきた蓮さんの気配に全く気付かなかった。 いつ入ってきたんだ。 リビングの灰皿を片手にタバコに火を付ける蓮さんは俺の隣に並んで、晴天を見上げる。 うちのマンション、ベランダは禁煙ですよ。上の階の洗濯物に匂いが付くとかでクレームなって。ま、良いけど。 「去年は風強かったですもんねー」 「全然桜見ないで帰ったよな」 「今年はゆっくり歩きましょ」 昨日会社で見たスーツ姿とは違う、柔らかい雰囲気の蓮さん。 ああ好きだなあ、って、整った横顔を眺めて改めて思う。 「見過ぎ」 「蓮さんほんとカッコいい」 「顔で言ったら雪弥の方が綺麗だし整ってる。俺はお前の顔好き」 「顔だけ?」 「…それ以外も全部」 そう言った蓮さんが俺の肩を抱いてこめかみにキスを落として。 言うことは可愛いのにそう言う仕草はサラッと出来ちゃうし、ちゃんとオトコ。 ねえ蓮さん、来年も再来年も、ずっとこうやって過ごしましょうね。

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