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盗撮が犯罪って知ってますか?

「おい、桜を撮れよ。花見だぞ。」 「ああすいません。蓮さんが美し過ぎて花かと思いました」 「連写…連写やめろ!」 日曜。毎年恒例のお花見。 昼には準備して外に出て、夜は軽くどこかで食べようかって話してたのは金曜のことで、深酒をしてしっかり昼夜逆転、酒が抜けて目を覚ましたのは日曜の夕方だった。 最近これ多いな。休日がほぼ寝て終わってる。 結局だらだらシャワー浴びて外に出た頃には風も涼しくなってきて、桜はライトアップが始まっていた。 そういえば、夜桜って初めてだったか。 ちらっと屋台も見たけど、お互い起きぬけで何か食べる気分でもなかったから、舗装された桜並木を並んで歩いてたんだけど。 さっきから向かい合って立つ雪弥がスマホでカシャカシャと写真を撮りまくってて非常に鬱陶しい。桜を撮れ。カップルの視線が気まずい。 「あっ、この蓮さん綺麗に撮れた!カッコいい〜」 「雪弥も撮ってやるよ」 「俺髪セットしてないから嫌です」 「俺だってしてねえよ」 「あ、これもいい感じ!社用スマホの待受にしようかな」 おい、無視か。 ハイテンションで写真を撮りまくる雪弥はひと通り遊び飽きたのかスマホを上着のポケットにしまって、また大人しく隣に並んだ。 咲きかけも混じる色付いた桜の木を見上げながらゆっくりと歩みを進めると、ふと雪弥が一本の木の前で足を止めてスマホをいじり出す。 ほんと、こいつは子供みたいにころころ表情が変わるから目が離せなくなる。 「どした?」 「やっぱり!去年この木の前で蓮さん撮ったんですよ。ほら」 「盗撮かよ。」 ずいっと目の前に出された画面を見れば、この木かは判らないが社用スマホで電話をしてる俺の、横顔。 「去年と同じ桜をまた蓮さんと二人で見てるってなんか感慨深くないですか?」 「俺は去年のこの瞬間を全く覚えてないけど」 「俺が覚えてるから良いんです」 そう言って笑う雪弥の頭にひらりと桜の花びらが舞い落ちたから、返事をする代わりにそれを払ってくしゃっと髪を撫でた。

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