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いつか罪に呑まれても
土曜。昼過ぎ。
外はそれはそれはいい天気で、窓の外の晴天を眺めながら室内はエアコンがんがん。
ソファに並ぶお隣の蓮さんは、最近買ったばかりの本に夢中だ。
「蓮さん、それ面白いですか?」
「んー、うん、勉強になる。終わったら雪弥も読む?」
「俺漫画以外読めないんで、大丈夫です」
「あっそ」
ぽす、っと蓮さんの大きな手が頭に乗った。
そのまま肩を抱くように引き寄せられて、俺は何をするでもなく蓮さんの肩にもたれ掛かる。
こういう関係になってもう数年。
初めこそ俺の腕の中で大人しくてしてたものの、正式にお付き合いするようになってから、蓮さんの言動の節々に女性経験の豊富さを感じざるを得ない。
「蓮さんって、経験人数何人くらいですか?」
「…お前、いくら暇だからってそれは幼すぎるだろ」
「いや、暇とかじゃなくて、本当に気になるんです」
はあ、と大きなため息を吐いた蓮さんは本から目を逸らさずに俺の髪をいじる。
沈黙。
あれ、もしかして無視されてる?
「あー、覚えてない」
「え、いま考えてたんですか?」
「うん、でも全部は思い出せなかった」
全部はって、ええええ。
テーブルに本を置いてソファの上で向かい合った蓮さんが、じゃあお前は?って聞いてきて、
ああ、なるほど。覚えてないや。
「そんなもんなんですかね」
「そんなもんだろ、お互いに」
「蓮さん、とんでもなく恨み買ってるかもですね」
「雪弥くんにそっくりそのままお返しするよ」
ふふっと笑った蓮さんが俺の首に手を回して、引き寄せながら後ろに倒れた。
きれいな顔がこちらを見上げる。
「シよ、雪弥」
「ベッド行く?」
「ここでいい。カーテン閉めよ」
遮光性で選んだカーテンを閉めると部屋の中は真っ暗になって、後ろで蓮さんがエアコンをいじる音が聞こえた。
本当いい天気だなあ。終わったら散歩でも行こうかなあ。
なんとなく意地悪したくなって窓のところに突っ立ってたら、痺れを切らした蓮さんが背後から抱きついてきて、お腹のあたりに緩く腕を絡める。
「雪弥、あんま気分じゃなかった?」
「んー、んー?」
「やっぱりちょっと休もうか、寝室に…」
「蓮さん、可愛すぎ」
あーもう。いじらしい。
振り向きざまにキスをして、そのままソファに押し倒すと、耳を赤くした蓮さんが俺のシャツの裾をぎゅっと握った。
半開きの口に舌を突っ込んで蓮さんの熱を追い掛けると、同調するように俺の舌に吸い付いてくる。
その仕草すべてが愛おしくて、こんな可愛い蓮さんを見れるのは俺だけだろうなって優越感に浸って。
「んっう、ゆき…っ」
「蓮さん。かわいい、だいすき」
「ん、んっ、雪弥、愛してる…っ」
過去の女の話聞いて嫉妬して、自分から聞いたくせに気持ち確かめるみたいなことして。俺も大概めんどくさい女みたいになっちゃったな。
「蓮さんはずっと俺のものですからね」
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