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こうすれば安全だね

「蓮さんは全然危機感が足りてないんですよ!!」 雪弥の機嫌が、非常に、悪い。 残業もそこそこにいつもの居酒屋に移動してからも、ぽろぽろと仕事の愚痴は止まらず、気づいた時には足元が覚束ないくらいに酔っ払ってしまった。 雪弥の上司は、仕事が出来る人ではあるがとにかく口が悪いし気が短い。俺は他部署だから側から見てるだけだけど、自分の上があんなだと思うと気が滅入る。雪弥もいろいろ溜まってるんだろう。 完全に泥酔状態の雪弥を引きずってやっとの思いで帰宅した俺の家で、殺気立った彼の怒りの矛先は何の罪もないこの可愛らしいお菓子の箱へぶつけられてる。 「別にやましい事なんて無いよ。向こうだって気を使ってくれただけだって…」 「気を使っただけの相手にこんな可愛いリボンなんてつけません!ピンクだし!」 じゃあ何色だったら許してくれるんだ…。 ぶーぶーと文句を言いながらソファの上にぽんっと投げられたお菓子は確かに女性からの貰い物だけど、絶対に他意はない。雪弥がよく話してるブランドだったから喜ぶかと思って取っておいたんだけど、逆効果だったか。 フラフラと寝室に向かおうとする雪弥の腕を掴んでもう一度ソファに座らせた。むすっとした表情は子供みたいで、ネクタイを緩めたスーツ姿が不釣り合いでならない。 顎をすくって唇を重ねてもその不機嫌な顔は変わらず、さあどうしたものか、仕方ないので雪弥が前々から事あるごとに強請ってくる切り札を使うことにした。 「そんな心配ならさ、キスマークでも付けとく?」 「え!!!いいんですか?!」 途端に目をキラキラさせた雪弥は手早くネクタイを外して早速俺の首元を物色。 この辺かなあ、なんて鼻を寄せて匂いを嗅いだりして、なんともくすぐったい。 別にどうしても嫌とかではなく、ただ単に30も近い男がキスマークは痛過ぎるだろと思って断ってた。 まあ、金曜だし良いだろ。週明けまでは消えるだろ。これで雪弥の機嫌が治るなら、 「雪弥、お前の良心を信じるけどあんまりにも目立つところは、…んっ」 「可愛い。蓮さん感じちゃった?」 「付けるなら、早くしろ、」 さっきまで犬みたいに首元をすんすん匂ってた雪弥が突然耳に舌を入れてきて変な声が出た。 甘噛みしたりぺろぺろ舐めたり、一通り右耳をしゃぶった雪弥は、俺の頭を抱き込むようにして耳の後ろにゆっくり吸い付く。 勃ってきちゃってるんだけど。 これ雪弥に見られたらめんどそうだな。 なるべく平然を装おうとしても、唇の間からちろちろ動く舌が耳の裏を掠めるたびに、下半身に何とも言えない疼きが走る。 「雪弥、もう付いたんじゃない?」 「んー、」 「いっ?!痛っ!雪弥!」 さすがに吸い過ぎだろと思って雪弥を引き剥がそうとした瞬間。 頭をホールドしたまま、無防備だった首筋にがぶりと雪弥の歯が食い込んだ。 じわじわ噛む力を強めていきながら、いつから気付いていたのか右手はゆっくりと胸を掠めて、すっかり反応を示してる下半身へと伸びる。 チャックを下ろしてその間から無理矢理引っ張り出されたそこは恥ずかしいくらいに臨戦体勢だ。 「うわ、えっろ。噛まれて興奮しました?」 「ちが、うっ…んっ、」 「すごいヌルヌルですよ?ほら、」 「あっあっ、雪弥…っ、やめっ」 思ってた以上に溢れてた先走りを先の方に塗り付けられて思わず腰が浮いた。先端を摘むみたいに扱かれて、ぬめりがどんどん溢れて止まらない。 ぶっちゃけ、溜まってたし。 恋人にこんな触り方されたら勃たない方が不自然だろ。 「はっ、んう、ゆき…、きもち、いっ」 「…え、雪弥?」 こいつ…、この状況で寝落ちかました…! すっかり俺の胸に頭を落として、すやすや穏やかな寝息を立てるその顔は悔しいくらいに整ってる。 綺麗な顔して眠りやがって。 はあ、明日しっかり処理してもらお。 *** 翌日。 「れれれれれ蓮さん!!なんですかその首!!浮気?え?!いつ!?こんなくっきり歯型まで…!!」 (もううざいし黙っとこ) 「雪弥お菓子食べる?」 「えっ、可愛いー!これ俺好きなやつです!貰い物ですか?ラッキー!」 …もうこれが可愛いんだから、惚れたもん負けだ。

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