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はやくその毒をください
「毒ですよ、それ」
「雪弥も吸ってんじゃん」
「俺はだいぶ量も減りましたもん」
いくら空調が効いてるとはいえ、男2人が情事に耽ったあとの部屋は湿気といろんな匂いが入り混じってじめじめする。
ベッドに横たわったまま、間接照明だけを頼りに長くなった灰を灰皿に落とすと、それをすかさず奪い取った雪弥が深く一口吸って揉み消した。
「なんだよ、構って欲しいの?」
「もっかいシたいです」
「雪弥は若いな」
さっき洗い流したばっかりなんだけどなあ。
後ろから抱き込むように両方の胸の突起を擦られて、先程までしつこいくらいに弄られたそこがジンジンと熱くなるのを感じる。
腰のあたりに押し付けられた雪弥の股間は信じられないことに、既にしっかり固くなっていた。
「ん…、きもち、い」
「うん、固くなってきてます。下も触って良いですか?」
「ん、触って…。あっ、んん…」
雪弥の左手がゆっくり脇腹を通って、ゆるゆると反応を見せ始めたそこに触れる。
勃ちが悪いと思われるかも知れないけど、さっきので2回射精してるし、雪弥が異常なだけだからな。
もう俺のは枯渇してる。
生殖器官として今日の営業は終了なはずなのに、それでもむくむく大きくなるあたり、欲に忠実な動物だなあってちょっと笑った。
「なんか、あんまり固くならないですね」
「お前がオカシイんだよ。入れても良いよ、緩んでるし」
「じゃあ、遠慮なく。いただきまあす」
気の抜けた声の後、
さっき受け入れたばかりの質量が内壁をぐりぐり広げながらゆっくりと侵入してくる感覚に目を閉じた。
2人とも横になったまま、雪弥が腕枕みたいに後ろから俺の肩を抱き締めてて、耳元に熱っぽい吐息が掛かる。
生殖行為でも無く、性欲を満たすのともまた違う。
ゆるく穏やかに雪弥が俺に入り込んでくる。
「ん…っ、んっ、ふ、あ…っ」
「蓮さんの中、ぬるぬるです」
「うん…、ゆきやの、熱い…」
「きもちい。蓮さん、だいすき」
耳元で、ほぼ吐息なんじゃないかってくらい消え入りそうな雪弥の声が頭の中に流れ込む。
ゆるゆると律動するそれに合わせて熱を孕んだ息遣いだけが脳内を支配した。
毒みたい。
雪弥に俺の全部を犯されている感覚に襲われる。
「蓮さんと、一緒になったみたい…」
「一緒?」
「近過ぎて、身体中くっ付いてて、蓮さんの全部が伝わってきます」
「なんだ、それ。」
「分かんなくて良いです。俺今、めちゃくちゃ支配欲が満たされてる」
お腹の奥に擦り付けるように何度か腰を打ち付けた後、とくっと小さく脈打った雪弥が俺の体内で今日何度目かの精液を吐き出した。
支配欲ね。
俺も今、それが満たされてる気分。
(その愛は毒にもなり得る危険な薬)
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