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第2話 春 -2-

「はぁ~~……温い温い温い~~~」 「三葵は本当に"あったかい場所"好きだな」 「うん、すきー。温かいと幸せー」 「はは……ホント、幸せそうなツラ」 壱弥はそう言いながら、ふざけてカーテンごと俺を"ぎゅううぎゅう"抱く。 ここは旧校舎の今は誰も使っていない教室……。 この教室の一部のカーテンが長いタイプで、小柄な俺が"くるり"と包まっても、床に座っても十分な長さと面積を有している。 しかも窓の向きが最高で、サンサンポカポカと太陽の暖かい光りを吸収したこのカーテンは俺にとって極上仕様に変化する。 この窓ガラスとカーテンに挟まれた空間に座ってウトウトしたり、寛いだり……とにかく学校の中でお気に入りの場所なのだ。 まぁ、旧校舎の奥……って事で、人があまり来ないのも理由の一つかも。 旧校舎は手前はまだ使用されているけど、俺がこうして通う奥はガラガラなんだ。 だから俺はこうして好き勝手している。 お気に入りの空間。一番仲の良い友達。和やかな時間。 「幸せー。温い中で、壱弥とゆっくり出来るしー」 そんなヘラヘラ笑う俺を、壱弥は尊重してくれて……この空間に二人っきりで居てくれる。 あー、本当、幸せー。 「菓子、開けるな」 「おう」 今回用意したのは新作、桜味のチョコレートが掛かったクッキー! 箱を開けると、丁寧に一枚一枚包装されている。 少しメンドウかな、と思うけど、手が汚れないし、残したり他人に上げる時に便利だから良いかなと思う。 俺は結構甘いのが好きなんだ。 壱弥は俺ほとではないけど、甘いのが苦手ではない。 だから、俺達はこの空間でお菓子を分け合って楽しむ。

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