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第4話 春 -4-
そして学校が終わり、俺達は下駄箱で待ち合わせて駅前にあるドーナッツ屋でそれぞれ好きなの選び、公園の途中にあるコンビニで飲み物を買った。
俺のドーナッツは苺チョコが掛かっている違うタイプが二つ。壱弥はチョコとシュガータイプにしたみたいだ。
学校を出て、テクテクと目的の公園まで来たら空が暗くなってきていた。
さて、桜目的のこの公園はデカイ。
小規模だが原っぱや、小さなグラウンドなんかもあるから犬の散歩やジョギング、ウォーキング、バドを楽しむ人やフツーに憩っている人等、結構様々な利用のされ方をしている様だ。
今日は平日だからか、桜の見頃から少しずれたからか、俺達の様に桜を目的に見に来ている人はかなり少なかった。
それでもまだ見頃であろう桜を植えている辺りには等間隔にベンチが設置されており、俺達は適当に選んで座り桜を見始めた。
「夜桜だな、壱弥ー」
「ああ」
「夜だし、桜も少し終わりだからかな? 人が少なくて良いかも」
「だなぁ」
―……人が少ないなら、何かのどさくさ紛れに手を握ったり、抱き付かれる現象が起こらないかな。
…とか、訳の分からない邪な考えするくらい、実は俺は壱弥が"恋愛相手"として好きだ。
「…………」
ゴソゴソとドーナツをパクつき始めた壱弥を横目で少し盗みして、俺もドーナツに齧り付いた。
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