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第5話 春 -5-

美味い。そして、桜も満足の咲き具合だし、壱弥と一緒だ。 壱弥と、一緒だ。 嬉しいけど、どこか苦しい距離感だ。 ……どうせ報われない恋だから、明るく楽しくをモットーに隣に何年も居る。 仲の良い幼馴染を、何年も演じる。 けど、壱弥に彼女が出来たら……ちょっと、俺は演じる自信が無い……。 きっと俺は大泣きして……壱弥の前に立てない。 もちろん、"横"も無理だ。彼女と俺が同格とは思えない。視線に握る手も常に彼女だろう。 更に"後ろ"も耐えられない。仲の良い二人を、俺は見てられない。 一時的に全部無理だ。……そのうち復活すると思うが……。 そしてコイツはモテル。 告白されても中学の時は誰とも付き合ってないって、俺は分かってる。 でも、高校になったら? 共学高だし? そりゃー……彼女、作っちゃうんじゃない? 今はまだ入学したてで……でも、……もう少ししたら、壱弥の良さに惹かれた女子が必ず寄って来るんだ。 必ず…… 「……」 「なぁ、三葵、ドーナッツ半分にして交換こしねぇ?」 「へ!?」 「そうすりゃ四種類楽しめんぞ」 「……!!!」 ぬぉおお!? イベント! イベントが発生しましたよ!? こ、コレって…あれ、あれ、あれの流れでしょ!? 間接なアレの流れですよね!?!?!

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