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第6話 春 -6-

「……しょ、しょぉがねぇえなぁ。俺が選んだのは美味いから、心して食え!」 「おう」 そして渡された壱弥のドーナッツ。チョコとシュガータイプ。 「…………」 「食わんの?」 「……食うよ」 ―……割られてた。 壱弥さんのドーナッツは、"齧る"じゃなく、"割られて"た。両方、割られてた。 壱弥さんに女子力を感じた。 俺? 俺は一つは齧って、もう一つは割った。 だって、気にせず食べてたし。そんな途中の提案だし。 壱弥はそんな俺の齧ったドーナッツを「確かに美味いな」とか言いながらフツーに食べてるし? キイィィイイ! 何だか悔しい……!! ……あれ? でも、ある意味逆パターン? ふぉ!! 急に恥ずかしくなってきた! さ、桜! 桜を愛でよう!! 本来の目的だし! 「……ぃ、壱弥のも美味いな」 「おおー、そいつは良かった」 「桜、咲いてるうちに見れて嬉しい」 「だな。間に合った」

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