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第13話 夏 -6-
「熱いからな……」
「ん!」
そう言って壱弥が"ふーふー、あーん"を……!
「うあぁあい! いつぁ、ありがとあ~」(うまぁあい! 壱弥、ありがとな~)
「お、おう……。もっと食え」
「うん。あー……んむ!」
「…………」
「ほうぁ、いつぁもふぇおー」(そうだ、壱弥も食えよー)
「……飲み込んでから喋れ」
「ん」
言われた通り飲んでから、壱弥にもたこ焼きを食うように勧めた。
そして壱弥が食べている間に、食い気が出てきた俺がキョロキョロしていたら……
「―……あと何食いたい?」
「リンゴ飴!」
俺のリクエストに「はいはい」と言いながら飴を買い、差し出されれて俺は持たれてるリンゴ飴を舐めたり齧ったり……。
う~~ん? 人に持たれてるのに食いつくって、案外大変だなぁ。
持ってるクマのぬいぐるみも出来れば汚したくないし……。
「ん~……。リンゴ飴で口の周りベタベタ……」
―ぺろぺろ……
「!」
「ぅあ~。口周りあめぇ~。……壱弥、もうちょいだから……んっ……ん……。ちょい傾けて? 上手く舐めれない……ん~~?」
「……!!」
「ンぁ? 壱弥、どうした? 顔赤いぞ?」
「……気に、する……な。それより、クマを代わりに持つから、お前……あそこで座って自分で食べたらどうだ?」
「おお! ナイス空きスペース! 歩き疲れてたから、丁度良いな~」
壱弥が指す方を見れば石を積み上げて作った壁みたいな所で、何人かそこに座って休息している。
そして俺達は空きスペースに座り、俺はリンゴ飴を齧り、壱弥はぬいぐるみを抱え休憩することにした。
齧りながら壱弥の方を見ると……
「?」
何でクマに顔を埋めてんだ……?
「~~……がま……、だ、がま……っ」
何か呟いてる?
"ガマ"? ……かえる、か? クマ、だろ? それ。"ま"しか合ってねぇぞ。
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