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第16話 秋 -2-
―……そして当日……。
「壱弥、どうだ! 白猫の緑太めがね青ミニスカチャイナ店員だ! ちなみに見えても安心、お手軽・お手製ホットパンツ内臓だ!」
「妙に盛り込んだな……」
ちなみに白ニーソでヒラヒラ白エプロン、靴は白チャイナシューズ、足首に紐タイプ!
更にだ! 女子が悪ノリしてツケマ薄化粧までしてるぜ!?
俺くらいの平凡はこれくらいして、玄関でビラ配って来いって、クラス全員から放り出された。チクショー!
「……それにしても化けたな、三葵……。もしかして化け猫?」
「人間だよ! あと、文化祭中の俺は"みーちゃん"、で宜しく。ハイ、チラシ」
そしてエプロンに付けた"黄色いチューリップ型幼稚園バッチ"を見せて、"みーちゃん"の文字を見せる。
俺の他にも、フロア組みは全員、この愛称幼稚園バッチをつけてる。
「"あーん券"?」
俺から受け取ったチラシを見て、壱弥が怪訝そうな声を上げた。
「ああ、それ? 書いてある通り、"あーん券"ってのはな、百円で三口分、給仕の"同性"から"あーん"してもらえる券の事だ」
「同性?」
「あんなー、"逆転喫茶"なんだぞ? しかもその券自体、ネタだろ。
女子は友達同士で気軽にするかもしれねーけど、男子はどうだろうな?
ま、お祭り笑いネタくらいにはなりそうかな~、ってな感じ」
「……ふぅん? 三葵もするのか?」
「必要ならな。よーろーこーんーで~~~……壱弥サン、オマチシテマース。うふン♪」
女装しているから、悪ノリで壱弥にポーズをつけて"うふン♪"とウインク笑顔を振り撒いた。
俺は「止めれ」と頭にチョップを食らうと思っていたら、予想外の真顔で時が止まっていた……。
……真顔で時が止まるくらい、似合わなくてショックだったのだろうか……。
そして俺はチラシを全て配り終え、教室に帰り今度は茶化されながら給仕役をしていたら、壱弥がやってきた。
俺は別な客を相手にしていて、壱弥の接待を始めたのは別なクラスメイトだが、ソイツは俺を壱弥の元へ……。
しかも、しかも、だ……
「え!? 壱弥、"あーん券"買ったのか? しかも俺を指名……?」
「俺がみーちゃんの売り上げに貢献してやるよ」
「そ~~いうシステムじゃねぇええぇええぇ~~~」
あ! でも堂々と"あーん"出来る!!
「ま、まぁ? そういうシステムじゃないけど、俺を指名してくれンなら、あーん、しても良いけど?」
"ツーン"と言った後、壱弥をチラ見したらスマホを持って既にチョコケーキとコーヒーが用意されていた。
何でスマホ出してんだ……?
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