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第21話 秋 -7-

「――……俺は、昔から三葵が好きなんだ。断りつつ半分は、三葵に告白してた……"好きな子がいる"って……」 「……ぇ……」 「カーテンじゃなく、俺とどこでも一緒に居て欲しいんだ。 だから、あの教室をわざと選んでた。 その反面、現状を続行して、カーテンの裏の三葵の世界に居続けたんだ……」 「……」 「……俺、本当はカーテン裏に居る三葵に一方的な自己満足の告白……だけで済まそうかと思ってた……。 でも好きな奴がいる、って知って……、どう思われようと最後に俺の気持ちを"無し"にしたくなくて……。 三葵が俺の前から居なくなる前に、自分から何とかしないといけないって……こ、これでも結構勇気出してんだ、俺」 「…………」 ……勇気……。俺は諦めてた感情を、壱弥が俺に必死に使ってくれてる……。 「……三葵が好きな奴より、俺が一番、三葵を大事にするよ。 今までもそう。これからも、それには自信がある……」 カーテンを隔てて、壱弥が俺に告白してくれてる……。 身体が震える……。これは、歓喜だ。俺、歓喜に身体が震えて……動けない……。 そして壱弥が何度か深呼吸した。 カーテンの向こうの壱弥がつくる影で分かった。 そして、こちらを向き…… 「……ずっと好きです。ダメもとだって分かってるけど、俺と付き合ってください。……お願い、します」 しゃがんでカーテンをそっと除けた壱弥は真剣で……。 でも、眉毛は下がって、瞳は潤んでいて……泣きそうに感じた。 俺はその言葉と表情を受けて、最初は口が戦慄いて何も言えなかったけど…… 勇気を、出した。 ―……俺だって……! 「……俺、ずっと壱弥が好きで……。俺が好きな人はずっと壱弥なんだ……。……壱弥、……壱弥ぁ……! 大好き! 付き合おう!!」 俺は告白しながらカーテンから出て、堪らず壱弥に正面から強く抱き付いた。 壱弥はそんな俺の抱き付きに驚いて受け止めたけど、尻餅をついちまって……。 でも直ぐに"ぎゅうぎゅう"強く抱き締めてくれて、 「諦めないで良かった……」 って、震える声で言ってくれた……。 何だ、壱弥。俺もお前も変に怖がりだな……。 でも、これからは"怖く"なったら、こうすれば……良いよな? ―……そして夕暮れより夜に近い暗い色合いの旧校舎の空き教室で、俺達は少し頬を濡らして強く抱き締めあったんだ……。 ―……そして俺は後で、この夜が流星群の極大日……星が一番多く流れる日だと知った。 でもこれは……また別な話。

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