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第20話
バイト先のドアを開ける勇気がなくて、暫く立ち尽くしてしまいそうになった…。春さんは、横にいるけど開ける気がないみたいだ…
これは俺の問題だ。ちゃんと謝らないと…。
そう思い、ドアを開けた…。中はシーンとしていて、一瞬誰もいないのかと思った…。
「いらっしゃいま……、涼くんっ!」
「あ、いさん……。ごめんなさい……。あのお、れ…俺……無断で…」
「涼くん。ゆっくりでいいので、何があったのか教えてください」
「お、俺……、熱出て、絡まれて……倒れちゃって……。それで、起きたら…3日経ってた……ごめんなさい…。バイト…クビ…⁇」
涙が出てくる……。泣きたくないのに、嫌なのに…、溢れてくる…。また "出来ない奴" と言うレッテルを貼られて見捨てられるのかと思うとどうしても悲しくなった……。
熱を出していたからか、それとも軽くパニックになってしまったせいか……。心が弱くなる。嫌だな……。なんで俺はこんなに弱いのか…
「愛ちゃんのお店だったんだね…。知ってたら連絡いれたんだけど…。ごめんね?」
「いや、むしろ悪かったな…。ミナに送らせれば良かった…。絡まれたのもミナのせいだろ?彼奴も、心配してた。連絡が取れないってな」
「あらら、ごめんね……。心配させちゃった…でも、愛ちゃんのお店なら安心だね。良かった涼くん、バイト頑張ってね」
俺の知らないうちに話は進み、バイトもクビにならなかった…。安心した事で、体から力が抜けてしまってフラッと倒れてしまった…。
「わっ、大丈夫⁇……また熱上がっちゃったかな?…僕のところで風邪治るまで見てあげるから、ちゃんと治そうね」
「嗚呼、それがいいな。悪いな、林(りん)。涼くん、風邪が治ってからバイトにおいで?待ってるからね」
「はい……」
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