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第21話
その後のことはよく覚えていないが、また熱が上がってしまったことだけは理解した。気がつくと、先程までいたベッドに寝ていた…
ドアが開いて春さんが入ってくる。元々一人暮らしなため家に帰っても俺しかいない。面倒を見てもらえるのは凄く有り難かった…
「あ、りがと…。治ったらちゃんと、お礼する俺に出来ることある…?」
「気にしなくていいですよ?はい、これ食べてお薬飲みましょうね。良くなりますから」
「んっ…」
卵のおかゆ。暖かそう。ダシのいい匂いがしてお腹が鳴った…。風邪を引いていてもお腹は空くんだなぁ…。なんて、ぼんやり思う。
普段あまり風邪を引かないせいか、一度風邪を引くとトコトン悪化させてしまうのだ。
怠いし絡まれやすくなるしで、気をつけて生活していたのだが…。やっぱりあの日あのストーカーに抱かれなければ良かったな。
「はぅっ…!あ、ふいっ…」
「あっ、ごめんね…。まだ熱かった?お水どうぞ…。舌火傷してないですか?」
「んっ…。だいじょーぶ……?…みたい」
もしかして、春さん少し天然?冷ましたりしないでそのままおかゆを俺の口に入れた…。熱くてビックリだ。
今更だがなんで俺は春さんに懐いてるんだろ。なんか、この人俺と似てる気がするだ…。
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