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媚薬
その日、アルは町中へ出かけてテオスと昼飯を食べた。人間の子供に手を焼いていると聞いて、テオスはゲラゲラ笑った。
「笑いごとじゃない」
「いやぁ。楽しそうだなって思って。良かったよ」
「良くない」
「まぁまぁ、アレだ。大人しくさせるには、手っ取り早く調教しちまうんだ」
「?」
テオスはいやらしい笑みを浮かべ、親指と人差し指で輪っかを作り、反対の指をスコスコと輪っかに通して見せた。
「店の奴がくれた道具で後ろを拡張するんだ。尻でセックスできるように」
「やめんか! 昼間から!」
アルは慌ててテオスの手を下させた。
「可愛いお雌ちゃんにしちまやいいんだよ。その為のペットだ。ファイサル元将軍は毎晩抱き枕にしてるって言ってたよ」
「……」
アルは呆れたようにテオスを見た。
「どうしても無理なら俺が貰ってやるから。一回試してみなって」
テオスはニヤニヤ笑って、ケバブに噛み付いた。
アルは夜になってから屋敷に戻った。
すぐにハヤテの様子を見に行く。泣き疲れて眠っているようだ。ケージの扉を開けても気付かない。
アルはハヤテをケージから出して抱き上げた。ハヤテの体は柔らかく、甘い赤子のような匂いがする。
ファイサルが人間を抱き枕にしているとテオスから聞いて、少し気になったのだ。
ファイサルは最も尊敬していた黒狼の戦士だ。戦で負った傷で脚を引きずるようになって引退した。
ファイサルは生れながらの戦士で、戦えなくなった事でふさぎ込んでいた。だが、ディザに隠居してから随分と穏やかになったと聞く。よもや人間のペットのおかげだとは思わなかった。
状況は違えど戦の無い今、アルも鬱憤が溜まっている。ほんの気まぐれから、アルは寝室のベッドにハヤテを寝かせた。
自分もベッドに入り、小さな少年の体を腕に包むようにしてみた。赤ん坊のような体温と心音。優しい匂いにため息をついた。
……なるほど。これは眠たくなる。
アルは目を閉じて、深い眠りへと落ちていった。
翌朝、ハヤテが目覚めた時、毛皮に包まれていた。
「……?」
モフモフと毛皮を触っていたら「くすぐったい」と寝起きの声で言われて、ハッとした。
「あ、あんた!? なんでっ」
「お前は抱き枕だ」
「はぁ!?」
ハヤテの華奢な体をきゅっと抱きしめてから、アルは起き上がった。朝日を浴びたい。
「あっ、離せ!」
「朝日を浴びる」
アルはハヤテを片手で抱き上げて、テラスに出た。
「どんな場所だろうと、日の出は同じだ。太陽には力がある。朝日を浴びるとエネルギーがリセットされるんだ」
アルは荘厳な日の出を静かに見つめた。そんなアルを見て、ハヤテは騒ぐのをやめて朝日を見た。確かに同じだ。村で見る太陽と。
しばらく静かに朝日を浴びていたが、ハヤテの腹がグゥ~っと鳴った。
「あっ……!」
ハヤテが真っ赤になって俯いた。その仕草が可愛らしく思えて、アルは声を出して笑った。
今朝はハヤテが大人しく抱かれているので、アルは気をよくした。
「昨日は飯抜きだったな。朝飯にしよう」
ハヤテはビクリと体を揺らした。
「椅子に座らせてやるから安心しろ」
笑いながらそう言って、屋敷の中に戻った。
アルはハヤテを椅子に座らせて、パンや果物、スープを用意させた。昨日の今日で、待遇の変化に召使いは密かに驚いていた。
「い、いただきます」
ハヤテが手を合わせて言った言葉にアルはまた驚いた。この人間の少年には驚かされてばかりだ。人間は思っていたよりも文化的な生き物なのかもしれない。
きちんとカラトリーを使い、静かに食事をする少年をしげしげと眺めた。
「何?」
「いや、驚いているんだ。人間はもっと知能の低い生き物かと思っていた。ほら、山にいる猿や猪みたいに」
ハヤテはカチンとして、強く言い返した。
「獣人は想像通り野蛮人だ。無理矢理連れ去って、服を奪って、手を使わずに食べろって言ったり……」
ハヤテが怒るのも無理は無い。自分の意思など関係無く奴隷扱いされ、売られたのだ。
だが、次の言葉はアルにとっては地雷だった。
「生肉を食べるのはあんたの方なんじゃないの?」
「……」
一瞬で和やかな雰囲気が凍り付く。アルの顔を見て、ハヤテはヒッと息を飲んだ。
アルの金色の瞳が冷ややかにハヤテを貫いていた。獲物を見据える狼の眼差しだ。
「……甘くすればつけあがる。やはりお前には躾が必要だな」
アルは立ち上がり、低い声で言った。ハヤテは慌てて逃げようとしたが、すぐに捕まり担ぎ上げられた。
「離せよ!! 嫌だッ!」
アルはハヤテを肩に担いだまま、店の者に渡されたトランクを持って寝室へ行き、ベッドにハヤテを放り投げた。
「嫌だッ! 何……ッ!」
ハヤテを押さえつけて、トランクを開けた。中から手枷を出して、ハヤテの両腕を後ろ手に拘束した。
「いっ……外せッ! この野蛮人!!」
「悪友がな、お前をさっさと雌にしろと言うんだ」
アルは媚薬入りの潤滑油の小瓶とディルドをベッドに放った。ハヤテは訳が分からず怯えた目で玩具を見た。
「あっ!」
アルはハヤテの両脚を大きく開かせて、腰の下にまくらを敷いた。恥ずかしい場所が丸見えになってしまい、ハヤテは再び暴れだした。
「何をするんだよ!? やだ! 離せッ!」
ハヤテの小さなペニスから尻の狭間にかけて、小瓶の潤滑油をたっぷりと垂らした。ハヤテの華奢な体がビクリと跳ねた。
アルの大きな手がハヤテのペニスをゆっくりと撫でた。
「変なとこ触んなッ! 気持ち悪い!」
「……すぐ良くなるさ」
アルはくちゅくちゅとハヤテのペニスを扱き、じっと観察するように眺めた。
人間の少年は左右に首を降り、嫌だ嫌だと喚いていたが、徐々に動きが緩慢になり、息が荒くなっていった。
「う、ふ……嫌だッ……離せぇ……あ」
「もう勃起してるぞ。どっちが獣だ」
アルはハヤテのペニスをピンと指で弾いた。
「ひっ!」
「こっちは初めてか?」
アルは一番小さいディルドを手にして、ハヤテのアナルに押し付けた。
「えっ、それなに!?」
「息を吐け」
「───ッッ!?」
細い先端をゆっくりと埋めた。潤滑油の効果もあって、ディルドの先は難なく入った。
「い、やッ!……嫌だ嫌だ! 嫌だぁッ! そんなの、はいるわけない! やめっ……無理ぃ!」
ハヤテはそんなモノを尻に挿入されることなど初めてで、未知の恐怖に硬直しながら甲高い声で叫んだ。
アルはお構い無しにズブズブとディルドをアナルの奥まで挿れた。腹が破れてしまいそうな感覚にハヤテはボロボロと涙を零した。
「ほら、ずっぽり挿ったぞ」
「……ぁは……はぁっ……はぁっ……」
ハヤテは泣きながら必死で息をしている。その顔に妙にそそられた。人間の子供とセックスしたいなどと思わないが、この生意気な少年を鳴かせたくなっていた。
「あ!───ああッッ!」
アルはディルドの根元を掴み、ゆっくりと出し入れを始めた。ハヤテはそのおぞましさに身震いした。
「やめてぇ……! 気持ち悪い……ひぃい!」
縛られた体をくねらせて、ひくひくと泣きじゃくる。
「確かに……可愛い雌らしくなってきた」
「あ! あ! やだッ……あ、やめてッ」
媚薬の効果も出てきたようだ。ハヤテの頬が紅潮し、アナルがキュウキュウと収縮してディルドを締め付けた。
「気持ちいいか? 人間の雌ガキ」
「やっ……気持ち、わるいっ……抜けってばぁ!」
「うそつきめ」
「あぁああッ!」
ぐちゅぐちゅと早く出し入れしてやると、ハヤテが胸を突き出すようにして背を反らせた。
アルは誘われるように、小さな胸の突起に舌を這わせた。まだ幼く、性感帯とは呼べない果実を大きな舌で舐め回す。アルの唾液がハヤテの胸から脇に垂れていった。
───やばいな。これは……
ハヤテの汗は芳しくアルの鼻孔を刺激していた。しっとりとした肌は美味そうで、鳴き声は耳に心地よい。
「あっあっ……いやぁ……はぅう……う、んんッ」
いつしかアルは獣のように息を荒げて、ハヤテの裸身を舐め回していた。興奮しすぎて思わず細い首に歯を立てた瞬間───
「やめてッ! 食べないでぇッ!!」
ハヤテが悲痛な叫び声を上げた。
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