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episode.1-8

「鼠だよ、お前さっき殺しただろ。知らないのか?獣は大概化けて出るんだ。アイツだって頑張って生きてたんだから、お前の事恨んで仕返しに来たんだよ」 「あっ、今の…、ッ何?鼠?」 「そうだよ。ちょっとは懲りたか」 一寸置いて、事情を理解した、渉は今度は堰が切れた様に咽び泣き始めた。 「…ほら、行くぞ!ちゃんと立派な墓作って謝ろう」 ひょいと躾ける親猫の様に後ろから抱え上げる。そうしてただ見守る職員等を擦り抜け、萱島は嗚咽を漏らす少年と共に部屋を後にした。 喧騒を静観していた戸和は、着信音に面を上げた。ディスプレイを視認して取り上げる。 この時間に珍しい。指を滑らせて応答し、椅子に深く掛けた。 「…どうされました」 スクリーンセーバーを外す。何百枚という写真が画面を埋め尽くしていた。 「いえ、確かに即戦力で助かってます。その筋の人間には見えませんが…ただ」 黒い双眼を液晶の灯りが照らす。 報告書の画像を選定しつつ、脳内では件の彼を想起していた。 「妙な胆力と、隙の無さがやけに目に付く」 雑居ビルの荒い画像が拡大された。間宮へ送る傍ら、携帯を肩に挟んで履歴書を掴んだ。 「殺した経験のある人間だ。何故派遣調査隊でなくうちに寄越したのか、ご説明頂けますか。神崎社長」 回線の向こうで相手が笑う。 直後に今日も予告無く切れた、益体な携帯を戸和は舌打ちして睨め付けた。 「戸和さん!もうあの人何とかしてくれよ…!!」 目の前で海堂が泣き崩れた。五月蠅い。 あれから繁忙のピークは脱したため、戸和は試しに渉と仲良く帰って来た萱島をB班に放り込んだ。 すると何故か、数時間後机に縋り付いてこの男が泣き出したのだ。 「理解は超早いんだよ、全然問題無いんだよ!でも俺はもう…なんかもう限界なんだよ!」 「何がだよ」 忙しい中書面から顔を上げ、面倒臭そうに部下を見やる。

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