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episode.3-9

力無くベッドに沈む身体に、相模は驚く程優しく触れた。 似ているかと思ったがそうでもない。 …そもそも顔面偏差値が。 あの男もそれなりに持て囃されてはいたが、萱島に言わせれば格が違った。 「も…止めって言っ…」 その綺麗な顔が真摯に見ていれば、誰だって少しはドキリとするだろう。 唇を離して伝う雫を拭う男に、つい見惚れて視線が交わる。 「分かった分かった、入れねえよ。触るだけだ」 「そういう問題じゃない…」 脱力して非難の声を上げる。 しかし正直、眠気で半ばどうでも良くなっていた。 初秋の肌寒い折、抱すくめられ伝わる体温が益々睡魔を誘った。 相模が空いた手を取り、掴まえそっと口付ける。 見ていられなくて顔を背けた。 その手が大腿を辿り、肌を伝った。 内側を揉まれ上擦った声が漏れる。 萱島は再び身体を離そうと躍起になった。 嘲笑うかの如く、相模が退路を塞いで鎖骨を噛んだ。 「お前ちゃんと気持ち良いだろ…バレてんだよ」 肩を引き寄せ、腕に囚われる。 反論する手前当たり前に…反応していた下肢を握られた。 萱島の頬が面白いほどに染まった。 一切視線を外さない相模が、布の上からゆっくりと撫で上げ嗤う。 「っん、ん…」 必死に行為を止めようとするのは、矢張り良心からだ。 引き結んだ唇から、耐え切れず艶声が零れる。 肩が震える。 次第に眉尻が下がる。 恥じらいに濡れた瞳を、相模は欲を孕んだ目で見詰め続けていた。 「可愛いなお前は、俺がどうにかなりそうだ」 容易く外したベルトの隙間から、萱島の熱へ直に触れた。 押し殺した声が、子犬の様だった。 蜜の垂れた性器を扱き、指先でつうとなぞる。 先端に雫を塗り込む様に、 明確な決定打を避け、少し苛めた。

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