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episode.3-10
「っん…あ、…」
耐え切れず相模のシャツを掴み、額を埋めて震える。
柔らかい髪を撫で、米神に唇を落とし、男は最愛に致すかの様なキスをした。
「も、止、止めて…」
萱島が俯き、泣きそうな声で縋った。
「どうして」
性器を弄る手は休めてやらぬまま、相模は頑なに顔を隠す相手を覗き込む。
「ほ、ほんとに…っ」
「イきそうか?」
「――、っ」
弱々しい力が相模の胸を叩いた。
限界間際で、萱島のなけなしのプライドがどうにか歯止めをかけていた。
「良いから、下らねえ我慢してんじゃねえよ」
「っあ、あ…ちょ、」
もう一方の手がシャツの隙間から胸をまさぐる。
耳まで赤くして、懸命に口元を押さえた。
こんなの、防ぎ様がない。
指先が乳首を弾き、唇を噛んだ。
快楽の波が駆け上がり、抵抗を無視して決壊した。
「…っ…は…、あ…ッ」
抗えない快感に、相手の胸に縋り付いた。
両腕に、思い切り抱き寄せられた。
香水に紛れた素の匂いに満たされる。
一気に虚脱し、朦朧と思考を飛ばして身を任せた。
己の愛撫で達した存在を、相模は愛しんで力を込めた。
既に眠気も相俟って何も考えられず、ただ苦しげな呼吸を紡ぐ。
疲労にやがて緩々と瞼が落ちる。
深夜の静寂の中、相模はそっと口付けた。
「またな萱島、良い夢を」
額に掛かる前髪を払う。
萱島が最後に見たものは、目を細めて笑う不敵な彼の相貌だった。
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