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episode.4-1 「awakening of」
「アイツ…」
机上の何かを取り上げた間宮がぎょっとした。
本日、サブチーフ(副主任)もリーダー(班長代表)も有給取得中のRIC本部。
意気揚々と朝から萱島の隣に陣取り、時折緩んだ面を晒していた間宮だが…ある物を発見した途端、顔を引き攣らせた。
黒い国内メーカーのスマートフォン。
裏返し、造りを確かめ、あらゆる角度から覗き込んで漸く確信する。
「どうした間宮班長」
「いや…戸和がまさか、私用の携帯忘れて帰ってるんですよ」
「は…」
主任の眉間に深々と皺が刻まれた。
人間有り得ない事に出会すと、先ずその事実を疑うらしい。
間宮の手中の物を奪い、萱島はまじまじと仕様を観察した。
「…ほんとだ」
「大災害の予兆だ…人類は遂に滅亡の時を迎えるんだ」
「早まるな班長、アイツ…何かこう、恐らく意味があってこれを置いて…」
未だ電源のついた携帯は休みなく振動していた。
バックライトが灯り、大量の不在着信を映し出す。
2人は沈黙した。
意味て。
携帯置いていく意味て。
「あー…そうか俺も今日、午後休だった」
「ちょっと、昼から俺らだけですか」
「大丈夫だろ副社長も帰ってくるし…困るだろうから、これ届けてくるわ」
「届けるったって…」
間宮は言葉を切った。
きょとんと萱島が瞬きを繰り返す。
「まあ、別に検問も無いし入れる事は入れますが」
「ん?何、どこに?」
「どこってキャンパスですよ。東城大の」
人間有り得ない事に出会すと、以下略。
萱島の手からボールペンが滑り落ちた。
「休みの日だけ学校行ってるみたいですね。そんなもんで卒業出来るのか知りませんが…まあなんせ奴ですから。明日も半休取ってるし、学科試験とかじゃないですか?」
いつも失念するが戸和は19歳だ。
そう、酒も飲めない未成年。
萱島は気持ちの良いほど甘えっぱなしの日常を思い返し、暫し腕を組んで今までの行いを猛省した。
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