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episode.4-2
間も無く日が最も近くなろうかという折。
本部に向かう手前、今日も多忙の副社長は自宅へ車を走らせていた。
秋晴れの陽光に眼をやられ、エレベーターの中では旅立ちかけ。
やっと我が家の扉が迫り、ふらつく足元で鍵を開ける。
漸く休めると安堵したのも束の間。中に入った本郷は思わずスーパーの袋を手放した。
一寸言葉を失い、当たり前の様に居る男へ苦言を呈す。
「…びっ…くりした…お前、帰って来るなら何か言ってくれ」
「帰った」
「今じゃねえよ」
呆れて落とした物を拾い上げる。
リビングには菓子を咥え、新聞を広げる社長が居た。
「何処行ってたんだ今まで」
「そうだ義世凄かったぞ…稚内なんて今で気温が2桁切って、風が吹いたらほんと真冬レベル」
「…北海道で何してた」
「何だよさっきから、小姑かお前は」
「喧しい」
特売の玉葱を投げ付ける。
掴まえた神崎が新聞を畳み、此方に静止を掛けた。
「待て待て義世、お陰でどうやら尻尾が掴めた」
「何?」
「…パティ、水浴びは終わったのか。昼はもう少し待て」
本郷は気配を感じて背後に目をやった。
何時の間に。
馬鹿みたいにでかい鳥が、猛禽類特有の眼光で此方を射抜いている。
「パトリシア…良かった未だ生きてたのか」
琥珀色の目をくるくると回し、鷲は甲高い声でキーキーと鳴いた。
彼女は神崎が友人の御坂から押し付けられた絶滅危惧種だ。
何が気に入ったのか知らないがこの男に懐き、旅先にまでついて回っていた。
てっきりもう唐揚げにでもされたかと思っていたが。
本郷は感慨深く元気そうな姿を眺めた。
「さて忙しくなるぞ義世」
「…これ以上か?」
ダイニングテーブルの上には、北地の土産が山積みにされていた。
その一角を自ら食していた男が口端を上げる。
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