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episode.4-6
「講義無いの?俺らバド部なんだけどさ、混ざってく?」
「…バド部?」
大学にもあるのか。
学生の捲り上げた袖が眩しかった。
「そうそう、1回生だよね?部活決めて無いならおいでよ」
「い…」
二の句が継げなくなった。
もういい年した社会人の男が。
ショックを受ける萱島を余所に、学生は実に積極的だ。
「あ、でも部活っても緩いよ?なんなら部室案内するけど」
「…俺は1回生ではありません」
「まじで?うっそ…おない?」
学生が一歩引いた。
誰がおないやねん。
萱島の眉間に皺が寄る。
「あと球技ならバスケ派だから。羽は興味ない、じゃあな」
「ちょいちょい、じゃ部活とかもう良いからさ。飯でも行こうよ、俺出すし」
「何で年下に奢られなきゃいけないんだばーか、もうはよ行けよ」
「は?年下?…ごめんお兄さん幾つ?」
腕を組み、不機嫌を隠そうともせず言った。
「23」
「…あれ、院生すか…?すんませんすんません、いや若いっすねー」
へらへらと笑って腰を折る。
うるっせー…頭悪そうな面しやがって、耳のぷらっぷらしたもん引き千切るぞあほ。
などと言いたい所だが、東城の生徒など確実に自分より出来が良かった。
「もう良いから羽追い回してろよお前…俺忙しいんだよ」
「さっきからずっと立ってますよね、超暇そうに」
「全力で待ち合わせしてんだよ。集中してんだから放っとけ」
「…ふっ、はは!」
学生が破顔した。
ポケットから引き抜いた手が萱島の肩に乗る。
「お兄さんウケるわ、やっぱご飯行こうよ」
萱島はもう視線すら合わせず、無視を決め込んだ。
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