119 / 186
extra.4-2
「アンタどんな舌してんですか、大丈夫ですか?」
「いやもっと集中して食べたらいけるから…ほら、もう1個下さい」
「別に何個食おうが味変わんねんだよ」
相手の口へ直にマシュマロを押し込む。
菓子1つでこの盛り上がりっぷり。
もぐもぐと殊更美味しそうに萱島が頬を緩めた。
今にCMのオファーが来そうだった。
「お前コンビニ好きだよな」
「俺、コンビニ信者なんで」
普段主任の事はボロカスに貶しているが、無論良い部分もある。
先ず、何気に人を良く見ている。
「間宮もう1個、もう1個ちょうだい」
「また?」
「もう1個!」
ガキか。
あまり糖分を与えると戸和に怒られる。
主任が腕に抱き着いて来た。
もう、これもいつもの事だ。
その上指を絡めてベタベタしてくるのもいつもの事だ。
「何でお前さぁ…一緒にコンビニ行こうって誘ったらいつも嫌だって言うの…何で?」
「だって萱島さんの隣歩くのやなんですもん」
「……」
泣く寸前の顔になった。
再三言うが性格は好みじゃない、好みじゃないが、これを苛めるのは少々快感が募る。
「…孝司くん、正直に言って俺の事どう思ってる?」
「嫌いじゃないですよ」
「あ、ほんとに?」
「ウザいとは思ってますけど」
「…そう」
するりと主任が離れていった。
そのまま沈鬱な表情で黙り込むから、休憩所はすっかり静かになった。
自分は取り立ててサディストという訳ではない。
ただこの上司が、無意識にそういった欲求を触発しているだけで。
ともだちにシェアしよう!