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episode.8-3
『…貴様何をしているのか分かっているのか!これは本部に報告させて貰う!』
「そうだね良く言っときな、二度とこんな湿気の多い国に派遣するなって」
『ぐああああ…!』
到頭、無線先の彼までホロー・ポイント弾に射抜かれる。
薬室の1発を残してマガジンを撃ち切るや、所長は漸く煙を上げる物を収めた。
気配は消えたが無線は筒抜けだろう。
本郷は辺りを見渡し、男の暴挙に面食らっていた。
「…おい、どうすんだこの状況」
「待機所からのゲートを閉めた。可愛い君達に5分あげよう」
要は、増援が来るまでの時間を質疑にくれるらしい。
もう少し平穏な策は無かったのかと呆れたが、まあ無かったのだろう。
あの狙撃手らは、警備とは名ばかりの監視である。
御坂康祐から機密を貰うには、連中にご退去願う必要があったのだ。
「手短に済ませようか。君達が聞きに来るなんて遥の事だろうけど」
「そう。アイツは何時も1人で動くから、肝心な話は本人に聞こうがさっぱりでな」
「…変わってないね」
こんな状況だろうが寝屋川は伸びをし、退屈そうに壁に凭れている。
御坂は騒がしいインカムを消すや、経緯も聞かず情報を話した。
「僕が知っているのは2つ。1つ目、あの子は一昨年の件で此処を睨んでいた。ただ僕も知らないし、SPも彼を殺さなかったから恐らく個人犯」
人差し指を立てる男の話に、一行は黙って耳を傾ける。
「2つ目。これは僕も最近調べて分かった件だけど…君達に加えて萱島くん、同時期に移植手術を受けているね。驚くなかれ、提供元も同一人物だった」
正直混乱した。
此処に来てその情報、驚くよりも意図が掴めない。
2人が今日この独立国家へ侵入したのは、神崎を追っての事だった。
彼が本部襲撃を秘密裏に調べていたのは承知だが、近頃どうも具体的に動く算段をしていたのだ。
おまけに調査レポートを盗み見れば、奴が目星を付けていたのは此処だった。
そうして御坂に問い糾しに来たところ、寄越した情報がそれとは。
「いや僕もびっくりしたよ。その提供元がバート・ディーフェンベーカー…遥の実父だったんでね」
「…待て、何、何だって?」
静止の手を上げる。
訳は分からぬまま、それでもどうにかまとめを早口で述べた。
「俺と寝屋川と萱島がアイツの父親から移植を受け、それで偶々何の図らいもなく今、同じ会社に居ると…何、そう言いたいのか?」
「正解。しかしそんな風に言われると成る程、オカルトにしか聞こえないね」
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