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(Side晴也)

朱雨と遥が泣いている………… うるせぇ……1番泣きたいのは俺だ…… ここに残ってろ、なんて言うんじゃなかった…… 俺の元から離さないってこの前決めたばかりだと言うのに…… 俺は自分から突き放し、追いかけようともしなかった……………… もし、あの時鈴と一緒に行動してたら……? 鈴がいなくなることはなかったんじゃないか……………… そう思うと後悔ばかりが押し寄せてくる…… 鈴……鈴……………………怖いよな……………… そばにいてやれなくてごめん………… 突き放してごめん…………………… ほんとうは今すぐ飛んでいきたい…… 辛かったなって言ってやりたい…… お前のことだ、ほかの男に犯されて 自分は汚くなったと思っているだろう…… そんなわけない…………………… 汚いのは俺だ……………………………… あの時、ついていきたいと言ったお前に 俺のエゴで学校に残らせ、俺から手放した…… お前のことをこうやって待つことしかできない自分に腹が立つ……………………………… もう、いい、如月と付き合ったフリでもなんでもする……………… それで鈴が確実に帰ってくるならそれでもいい………………………… 鈴にもう一度逢いたい…………………… 俺は目を閉じ、鈴の笑顔を思い出し 泣きだしてしまった…………………… 情けねぇ…………泣きたいのはあいつのはずだ……………… 俺に泣く権利なんてねぇ…………………… なぁ、鈴、無事か…?……………… 俺のことを恨んでるか? それとも俺が助けにくるのを待ってる……? それとも、俺のこと……嫌いになった?………… もういっそ、嫌われててもいい………………………… お前がこの腕に戻ってくるなら……どんなことでもする…………………… だから、もう一度、俺に笑いかけて…………………………

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