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それからは。 当たり前だけど、蓮は俺に 女の子がどーとか 彼女が欲しいだとか 言わなくなった。 少しだけ、ぎこちない空気に 寂しくなったりもしたけど・・・ 告白してたら、もう傍にも 居られなかったんだろうなぁ きっと。 そう思うと、少しくらいは ガマンしなきゃなぁ・・・ って、思う。 ただ・・・4人で居るときに やたらと 俺を観察するように見てくる蓮に 気づいて・・・ 孝之介を見ないように気をつけた。 なんか俺が孝之介を好きだって 誤解してたし。 『はぁ・・・孝之介じゃないんだけどなぁ・・・』 今日も 屋上で ぼんやりと、フェンス越しに 外を眺めながら呟く。 『俺が、なに?』 『っ─────!』 突然、後ろから声がして 心臓が跳ね上がる。 恐る恐る振り向くと・・・・ そこに居たのは 『こ、孝之介・・・』 やっぱり。 お前は忍者か。 いつもいつも 気配もなく現れやがって。 でもって 手には、俺の好きな缶コーヒー。 俺が悩んでいると、 必ずといっていいほど フラッと こうして やって来る。 忍者じゃなくてエスパー? なのかもしれない。

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