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☆10

『あ、ベッドに座って?』 『うっ////!?はは、は、はいっ////』 確かに。 床にはラグとかカーペットとか 何も敷いてなくて、ベッドくらいしか 座るところがないんだけど! いきなりベッドって・・・・。 妙に意識してしまう俺は ・・・ダメなヤツでしょーか。 急にムラムラして変なスイッチが 入ったら どうしよう。 そんな俺の(アホな)心配をよそに、 圭は勉強机の方のイスに座った。 ああ、そうだよね。 俺のバカ。 『あんこ包むの手伝ってね。』 『・・・・え。俺にも出来る?』 『教えてあげるから。ね?』 『うん!』 あんこ、あんこと言えば。 『そういやー、圭んとこの あんこって、 すげー美味いよね?』 『・・・ああ、うん。うち、昔は 和菓子屋さんだったんだよー。 おじいちゃんがやってた頃は。』 『おじいちゃん?』 『うん。だから、お父さんがパン屋さん やりたいって言った時は大喧嘩に なったって よく、お母さんが言ってた。』 『へー。あれ? おじいちゃんとお母さん・・・・』 って。 俺、結構ここに来てるけど、 1度も見たことない。 『うん。2人とも もう居ないんだ。 交通事故でね・・・・』 『・・・・え。あ、ごめん・・・・!』 慌てて謝ったら、圭は穏やかに 俺を見てから 『大丈夫だよ。もう随分 前の話だし。』 なんて、頬笑む。 当たり前だけど、寂しそう。 そっか、お父さんと2人なんだ。 なんか・・・ 無性に圭を抱きしめたくなった。 俺なんかじゃ なんの慰めにもならないだろうけど。 大丈夫だよ、って。 俺もいるよ、って。 でも、まだ そんな事 言えるほどの 関係じゃないし・・・ ただの友達に言われたって 気持ち悪いだけだよな・・・。 きっと。

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