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*** 大和・side *** うちの親との初顔合わせは、 パン屋が休みの日曜に決まった。 今日は水曜だから あと4日。 お義父さんは、毎日 ウキウキしてて 気負いとか そんなのは全然ないみたい。 逆に、圭は緊張しまくってて 不安そうで・・・とにかく必死に お義父さんを諭していた。 『お父さん・・・! 大和くんのご両親に 大和くんの事、 “ 嫁 ” って言わないでよ? ここで働くって事しか ご存知ないんだから。いい?』 ・・・・・って。 そうか。 そう言えば そうだな。 俺の親は、俺と圭がつきあってる事までは 知らないもんなぁ。 パンは、 もちろんだけど、 ” 圭が好きだから ” ここで働くって事を。 『え?言っちゃってもいいんじゃね?』 『い、いいんじゃね?・・・じゃ、なくって・・・! もう!そんな簡単な事じゃないでしょ!』 あ。 まだ続いてた。 『そうかぁ?』 『そうだよ!大体、僕も大和くんも男なんだし・・・ 嫁 とか、嫁ぐ とか言ったら ビックリしちゃうでしょ!?』 『・・・お前・・・心配性だなー。』 『お父さんが お気軽 過ぎるのっ!』 お義父さんは、 「はいはい。分かった、言いませーん」って 約束しては いたけど・・・ へらへら笑うあの顔は、めっちゃ怪しい ・・・気がしてならない。 圭も、同じように感じているようで まだまだ不安の残る顔で お義父さんを じとーっ と見つめていた。 ・・・うーん。 これは、どうしたもんか。

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