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☆32
*** 蓮・side ***
『れ、蓮・・・・・・///』
『ゆ・・・ゆう・・ま・・・』
全力で走って来たから
息がきれてしまって
すぐには話せそうになくて
膝に手をあてて前屈みになって
呼吸を整える。
『だ・・・大丈夫・・・・?』
『・・・っ、・・・・うん・・・』
落ち着いてきた頃合いで、
大きく深呼吸を数回 繰り返して
ゆっくりと 顔を上げて
佑真を 見た。
心配そうな顔の佑真。
そういえば
最近 、佑真が心から楽しそうに
笑ってる顔・・・・見てなかった。
俺は、自分の事ばっかりで
佑真の事・・・気持ち、
ちゃんと見えてなかった気がする。
ダメだなぁ・・・・俺。
好きなのに。
好きなだけじゃ、ダメなんだな。
孝之介の言った事、
当たり前の事なのに
言われるまで 気がつかなくて
ダメだなぁ・・・俺。
伝えたい事は いっぱい ある。
けど。
今、俺が1番 言いたいのは・・・
言わなきゃいけないのは・・・
俺は、もう1度 大きく息を吸い込んだ。
そして、
『佑真・・・ごめん!』
『蓮・・・・・ごめん!』
頭を 下げた。
・・・・・・・・・・・・ん?
今の・・・・・・佑真の声と かぶった?
そろり・・・と目線だけ上げると
俺と同じように 佑真も頭を下げていた。
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