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そんなわけで俺は緒方の催眠術の実験台になることになった。 彼は今、準備をするといって部屋を出ている。 つまり、1人だ。 俺の中の緊急アラームがさっきから鳴りっぱなしなのだ。 やばい、やばそうだぞ、と。 逃げるなら今しかない。 どうせダチだからこんなこといつでも謝れる。俺はリュックを片方背負って立ち上がった、とそこで緒方が帰ってくる。 「どこへ?」 いやーな笑顔だ。顔は笑っているが目は笑ってない。 「いや、特には...」 「そう、なら座りなよ」 ガチャッ 彼が鍵を閉める音がした。 うわ、俺死ぬかもしんない。 緒方は半ば強引に俺を座らした。その向かいに彼も座る。 異様に近かった。 「俺の使おうとしてる催眠術はさ、ちょっと特殊でね」 俺が逃げたさでソワソワしていると、緒方は催眠術の解説をし始めた。 「すごく体力を削がれるんだ、かけられた側が」 そんなん俺にかけようとしてんのか。 「あと、生活に支障をきたすようになったらすまない」 そんなん俺にかけようとしてんのか!! 大声で怒鳴りたい衝動にかられるが、そんなものは彼の次の一言でかき消された。 「じゃあ、かけるぞ。エロ催眠」

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