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緒方は俺の二本の指に顔を近づけて、
ふぅっと息を吹きかけた。
それが終わったかと思うと次は爪や指先にキスを落とす。
何がなんだかわからない。
だけど、気持ち悪いことに変わりはない!!!
「ちょ、緒方...、やめ」
腕を引っ込めようとした。しかし、それは彼の手によって安易に妨げられてしまう。
俺はへたっとその場に座り込み、緒方の顔の前に右手を差し伸ばす形になった。
れ、と。
緒方の唇を割って舌が出てくる。その舌が、人差し指の腹を舐めた。
「ひっ!」
気持ちが悪い!
舌はさらに指の付け根、第二関節、第一関節と、ひとつひとつ確かめるように舐めあげた。
中指も同じように、指の反りに沿ってゆっくりと舐めあげられた。
その次は中指と人差し指の間の溝へと。
自然と指が丸まろうとする。
指先から走る生暖かい感触は緒方に対する憎悪へと変わり、皮膚の下を通って脳にまで伝わる。
絡みつくような感触は嫌にも脳にしっかり刻まれた。
これが緒方千春の舌だ。これがおまえの友人の舌だ。お前は舐められているんだ、と。
「い...や、だ!緒方!!やめろ!やめろよ!合コンなんかいいから!行かないから、さ!」
「だーめ」
「!?」
かぷ、と彼は俺の二本の指を咥え込んだ。
その瞬間、明らかに指を弄られた感覚とは違うものが俺の中を駆け巡った。
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