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あの出来事があってから、俺と緒方は一言も言葉を交さなかった。むしろ緒方は俺を避けていたように見えた。
普通の喧嘩ってことなら、気の弱い俺が耐えきれず先に謝りに行くかもしれない。それで解決するかもしれない。
しかし今回はそうもいかなかった。
彼の放った最後の言葉が頭にこびりついて離れないのだ。
彼は俺の言葉を否定したんだ。友達だって、思っていなかったんだ。
そんなの俺、馬鹿みたいじゃんか。
やっぱり緒方は俺のこと嫌いだったんだ。だからあんなことして、俺の困る顔を見て楽しんで、
そう思うとなんだか全て繋がる気がした。いや、無理に繋ごうとしていたのかもしれない。誰に言うわけでもないが、緒方と話さない理由を作るため。「嫌われていた」と言えば、話さないのは普通のことだから。
気づけば俺も彼を避けていた。
なんだか頭がごちゃごちゃして、俺はテストどころではなかった。点数が酷かったのは言うまでもない。
いつもは緒方が教えてくれるはずの物理と数学。今回はあんなことがあったから、いつもに増してひどい点数を取った。何もかも彼が悪いと思って自分に言い訳をする。...実際そうだし。
定期テストの追試、補習も終わり、俺の学生生活はとりあえず落ち着いた。
緒方を避けることはもはや日常と化していた。あの時はあんなに虚無感を憶えていたのに、今となってはなんとも感じなくなっていたし、むしろこれが普通だとも思えてきた。
彼は頭がよくて、彼女もいるし、いわばエリートだし。そもそも俺とタイプが違うんだ。
俺は別に緒方とだけ仲が良いわけではなかった。自分で言うのもおかしいが、友人はたくさんいるほうだ。
緒方とつるまなくなった日から、俺はちょっとヤンチャ目の友人と放課後ゲーセンやカラオケなんかに遊びに行くことが多くなった。
正直そっちのが今までより楽しい気がした。自由で、いかにも高校生してますって感じ。俺は彼らの影響で耳に2、3個ピアスを開けた。
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