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「あー、行くっつったの俺だよ」
「だよねー!」
木乃はビシッと両手の人差し指を俺に向けた。
「来るよねー!今週末なんだー!人数足りないとかなったら最悪っしょーw」
相変わらず彼はヘラヘラと笑いながら答える。そして俺の机の上にヒョイっと座った。
今週末に予定はなかった。いや、むしろ毎日暇してる。久しぶりに可愛い女の子を落として遊ぶのもいいと思った。そう思った途端、今週末が急に楽しみになってきた。
「りょーかい。木乃ミンLINE教えなよ」
「俺もそう言おうと思ってたw」
俺は木乃とLINEを交換した後、教室を出てカラオケに向かった。
交換後木乃はすぐにメッセージを送ったらしかったが、合コンの打ち合わせとか大事な事じゃないと見えたので既読もつけずにメッセージを消した。
*
「ちょ、嘘でしょwメッセージ送ったのに未読無視はひどいかな?ん?ん?」
知り合った日の翌日から、木乃は暇があれば俺に絡むようになった。控えめに言ってうざい。
「だーかーら、お前とは合コン以外では絡まないって言ってるじゃん!」
ほえーとか、うえーとか意味のわからない言葉を発する木乃。
「なんでだよー」
彼は俺の赤いヘアピンを弄りながら問う。
理由は1つだった。彼は緒方と絡んでいるから。できるだけ俺の情報を緒方に回したくなかったし、緒方の情報も聞きたくなかった。
ま、こんな奴に言うわけないけど。
「...キライだから?」
「ヒドッ」
彼はそう言って笑った。傷ついてはないようだ。タフなやつだ、冗談じゃないのに。
「まっ、俺は好きでちゅよー、今城クン」
木乃はからかうように口先だけでそう言った。俺はそれを鼻で笑う。
「言ってろ。ほら、もうお前自分のクラス帰れ」
彼はへいへいと言って片手をひらっと返して教室から出ていった。
ふうと息をつく。疲れる。
斜め後ろの緒方の席。今は林と仲良さそうに話しているが、俺が木乃と話している時ずっとこちらを見ている気がした。
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