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抵抗しようにも緒方の腕の力は強く抵抗らしき動きはとれず、声を出そうにも何故か上手く声が発せない。
どうなってるんだ!?
俺が戸惑っていると、彼はふと俺を壁に押し付ける手の力を緩めた。そしてどこに術をかけるか迷うように、俺の体を制服越しに人差し指でなぞった。
「!」
彼に触れられた場所から順々に汚れていくような気がした。
「俺がハヤテをどう思ってるか、知りたくないのか?」
俺をどう思っているか?
ふと彼が言った言葉が思い出された。『友達と思っていない』その言葉が液体のようにどろっと溶けて、俺の顔や髪を濡らす。
「うっ」
なんだこれ...!
彼を睨むと、薄ら笑いを浮かべるのが見えた。そして「そう」と小さく呟く。
緒方は急に俺の首筋に顔を近づけたと思うと、そこに舌を這わせた。なんとも言えない温かい感触が伝わる。そしてそこはじんじんと熱くなる。
「あっ、待って緒方、やだ!!」
今まで出なかった声が急に出た。そこで俺の意識は途絶える。
けたたましく鳴るアラーム音。最初それは遠くで鳴っていたが、時間が経つと共にその音は近くなっていった。
自分の真横でケータイが鳴っているのに気づいたのにはかなり時間がかかった。
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