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部活も終わり、日が高く上がっている。秋だというのに日差しは強かった。そのかわり風が冷たく、額に浮かんだ汗を乾かす。
俺は満足感で満たされていた。
部活を真面目にするのもいいかもしれない。
そんな事を考えながら自転車を押して校門を出る。と、そこにセンター分けがニコニコしながら俺を待っていた。
「やっほ、今城クン!君サッカー部なのね!」
「木乃ミン...」
校門の前には私服姿の木乃が俺を待っていた。薄い青のシャンブレー地のシャツに、デニムパンツというシンプルな服装。耳にはイヤホンを片方ぶら下げている。
「なんで来たの」
「なんでって合コンじゃねえか!」
あ、忘れてた。
「おーおー、なにー?その忘れてたって顔!迎えに来てよかった!」
と、ここで一つの疑問が。
「なんで俺が学校にいるって知ってるわけ?」
「おー...」
彼は少し考えるような仕草をしてから自分のケータイを取り出した。そしてスワイプを繰り返す。何かを見つけた彼は、画面をこちらに向けた。と、そこには。
『今城のやつ部活来てるよwww久しぶりにサッカーできんのかなwww』
の文字。どうやら最初に挨拶した同輩がTwitterで呟いたようである。ったく人のこと無闇に呟くなよな。しかも大きなお世話である。 むっと眉を寄せる。
「ま、彼のおかげで今城クンの居場所わかったわけよ!さあ!いざ行かん!!」
彼は俺の自転車の後ろに乗ってきた。自然と体が密着し、ふわっと甘い匂いが鼻をかすめる。
「...俺あんま違法の2人乗りとか気が乗らないというか...。くさっ。お前香水かなんかつけてんの?」
「おまっ、くさって酷いな!!お前のが汗くせぇわ!」
「デオドラント使ったけど」
俺は1人分重くなった自転車をこいだ。
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