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場所は駅前の小洒落たカフェレストラン。いかにも「おしゃれですよ」って雰囲気を無理やり出している店で、普段なら絶対入らない。高そうだし。 お相手は近くにある私立の女子たち。いわゆるお嬢サマってやつだ。木乃によればみんな可愛いらしいが、...どうだろう。 俺は体を動かした満足感でお腹いっぱい、という感じだった。今更ながら気分が乗らないし、できればこのまま帰って寝たい。 自転車を置いて店内に入ると、木乃の友人らしき男が入口まで迎えに来た。こちらも無地のシャツにジーンズ、その上にジャケットを羽織っていて...、あらあらなんて素敵だこと。俺はため息をつく。制服なのは俺だけであるようだ。 服装に気を遣わない男だと思われる...。こんなことなら着替えを持ってきておくべきだった。 満足感がはらはらとこぼれ落ちていくのと引換に、ズンと気持ちが沈むのを感じた。 人数は女4、男4。俺と木乃を除く男2人は木乃の友人で、俺とは全く認識がない。他クラスってこんなにも関わりがないんだな。 対する女陣。右から眉上パッツン、ゆるふわショート、長いウェーブ、緩めのツインテ。美容室なんかに置いてあるヘアカタログみたいだ。服装はたまたまなのかみんなふわっとしたパステルカラー。横を通ると甘い香りまでする。見た感じすごく大人しそうで清潔で、さすがお嬢サマという感じ。木乃の言う通り、みんな人並みに可愛かった。 こんな大人しそうな子たちでも合コンとかするんだ。 そんな事を思いながら席につく。長いウェーブのあの子の向かい側だった。 みんなが座ったところで、1番端の木乃がすっとぶ立ち上がる。どうやら彼が主催らしい。 「お嬢様方、今日はお集まりいただきー、ありがとうございます!俺らはたぶん君たちの学校の男子とはタイプが違って、こんな見た目だけど君たちを取って食ったりしないから、楽しんでいきましょう!」 と、彼は少しおどけて言った。彼の隣の男子が笑いながら彼の脇腹に肘を入れた。女子たちもクスクス笑っている。 すると木乃の向かいの緩いツインテが口を開いた。彼女が女子たちの代表らしい。 「ええ、私たちの学校の男子とはタイプが違う。だから来たのよ」 そして彼女は女子メンバー全体に目を移した。 「私たちはこのように男の人とあまり話したことがなく控えめですが、よければ私たちを引っ張っていってくださいね。今日はありがとうございます」 と、礼儀正しい挨拶をした。ぱらぱらと拍手が起こったので、俺も便乗して拍手をする。 それが終わってから男陣の自己紹介が始まった。名前と自分の情報、最後にちょっとした挨拶をした。 俺は誰よりも早く自己紹介を終わらせ、最後によろしくとだけ付け加える。 女子たちも同じ要領で自己紹介をした。俺の向かいの長いウェーブの子の番が来る。彼女は隣の子から肩を叩かれ、今までの俯いていた顔を上げた。長い黒髪がふわっと揺れる。それと共に懐かしい香りが俺の鼻腔をくすぐった。 「花小路...、花小路ゆりかと言います。宜しくお願いします」 自分の情報も無しにまた俯いてしまった彼女。 緒方と同じ香りがした。

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