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なんでかわからない、わかってはいけないような気がした。 俺は彼女に惹かれた。 途端、脳に鋭い痛みが。とんでもない頭痛。吐き気までする。 なんで、なんだこれ...! 俺はテーブルに倒れ込むような形になった。テーブルの上のグラスや食器などがガチャガチャと音を立てる。女子が小さく悲鳴を上げた。 「お、おい!今城クン大丈夫か!?」 木乃が慌てて俺に声をかける。その声で周りの客からも視線が集まる。 最悪だ...なんか言わないと。 ゆっくりと上体を起こし、息を深く吸い込んだ。なお頭痛はひどい。 「...大丈夫、ほら...俺久しぶりに部活出て日光いっぱい浴びたから...。はは、急に気持ち悪くなっちゃって」 俺は無理やり笑顔を作った。冷や汗がこめかみを濡らす。 「...外出てくるわ」 俺はゆっくり立ち上がってテラスに向かった。足がふらふらとおぼつかない。テラスまでたどり着くか、そのレベルだ。 「...私、付き添います」 声をかけてきたのは花小路。俺の惹かれたあの子。断る前に、彼女は素早く俺の肩を支えた。 懐かしい香りで包まれる。それだからか、自分が情けなくなったか、辛い気持ちがグッと込み上げてきた。 俺、いつからこんなにか弱くなったんだろう。 視界の端で木乃が、俺に付き添おうとしていた男を引き止めるのが見えた。

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