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第4話
―……どうしてこうなった……。
「実は俺が"双子王子の兄、レオニール"なんだが……。弟と完全に間違われている……」
大人しい弟……"レイニード"の振りは楽じゃないが、魔族になる闇堕ち化は案外楽しーかもなぁ。……なんてな。
俺は今は魔王に与えられた広く、豪華な部屋に一人で居る。
「でも、魔王は全部超好みなんだよなぁ……。経緯がアレだけど、正直、惚れた。
他人の空似、ってあるんだな……。あの容姿や声は反則だろ……あの人を思い出す……。はぁー……」
本の虫である弟と一緒に"夜"を長引かせる方法が記載されている魔道書を王城の書庫で探している時に、俺は突然現れた魔王に浚われた。
その時、弟は書庫の一番奥の古代書の方に篭っていたから、俺の異変への行動が遅れたんだ。
そしてあれよあれよとしている内に、闇堕ち魔王専用の人形に……。"人形"ってなんだよ……ったく。
しかも、"弟"と間違われて。
俺達はとても良く似た、親でも間違える双子だからな……。
「今日はもう寝よ……疲れた」
考えても、無駄だ。
俺はこの月下城で弟のふりをして、魔王の"人形"として生きていくしかないのだ……。
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