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第6話

その日から俺は仮面をつけて生活している。 ―……強固な結界をはった魔王の居城の月下城で。 そう、現魔王は元王子の"俺"だ。勝手に魔王になることにした。 それにあたり、俺は城から"生"ある者は全員追い出した。 城に居るのは俺と、今まで月下城に攻めてきて敗れた大量の元冒険者等のスケルトン達だ。 感情が宿るのは、極力……傍に置きたくない。 元魔王が最後に何か叫んでいたけど、内容は知らない。 微かに俺本来の名前を呼ばれた気がしたが、もう知ったこっちゃねぇ。 ……そう……。魔王を弟と一緒にここから追い出した。 魔王も本当に好きな奴……レイニードと一緒に居たいだろ! 多分だが、世界の平和は俺がここで闇堕ち状態で生活している限り、約束されている筈……だ。 「―……これが"失恋"というものか……」 俺は俯き、雫を生み出さない為に瞳を閉じた。

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