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第10話 『call your name.』 -1-
―……まさか自分の居城をこんな形で外から見つめる事になろうとは……。
「―……レオニール……」
「レオは貴方にいつも会いたがってましたよ」
「…………」
後方からのこの声……レイニードか。
まぁ、この塔に来るのは俺を監視する役目のレイニード以外居ないからな。
正確には、現在この国最強……の魔術師のレイニードでなければ、俺を相手に出来そうも無いから、だが。
あとはレオニールの"弟"だから、というのも理由の一つかもしれないな。
「……………………」
「……兄。……レオに……会われますか?」
「……出来るのか?」
「……おそらく」
「それなら、是非に……」
現在の魔王が認めた者しか入城出来ない結界を張っているからな。
この結界は現魔王が施工した城の新たな決まりだから、今の俺は早々破れない。
魔王の居城の"月下城"の主が、"魔王"になるのだ。
簡単に言うと、城が王を選び、保護していると言っても良いのかもしれない。
だが、本来の"魔王"は俺で、俺は健在だ。
だから、実は今の魔王は"代理魔王"なのだ。
城との結び付きは俺の方が強い。
その城との繋がりを無理矢理引き出せば、俺はレオニールから"魔王"の称号を奪える。
でもそれでは駄目なのだ。
今のレオニールから、"居場所"を奪っては駄目なのだ。
『月下城という、鳥籠から小鳥を取り出してはいけない』
あそこにレオールが篭っているおかげで、誰も美しいレオニールに手出し出来ない。
それは今、あそこで使役されているスケルトン共もだ。
一度、俺に敗れている奴等は、月下城の真の支配者の影響下で俺に逆らえない。
まだ俺の手の中にある。
「それで、レオニールに会う方法とは?」
乗り気な俺の言葉に、レイニードは「魔王様なら、簡単ですよ」と少し"悪い"笑みを向けてきた。
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