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第11話 『call your name.』 -2-
「―……今月の商品をお持ちしました」
「やぁ、いらっしゃい」
今の俺の前には魔王のレオニールが立っている。
本当に……彼に会えた。
まぁ、そんな俺は今は"商人"に変装しているのだが……。
結構本格的にしたから、顔の造詣も本来のものとは違う。
「さ、こっちに商品を持ってきてくれ」
「はい」
毎月一回、友好関係を確認する為に商品の売買をするのだ。
その使者の商人として、俺が変装してレオニールに会っている。
最初はあまり会話は出来なかったが、俺が質問すればレオニールはそれに答えてくれた。
だから俺は色々彼に質問し、これをぶつけてしまった……。
―…………"「貴方は元は"人間"で、無理矢理"魔族"になったのだと…………聞きました。魔王を恨んでますか?」"
迂闊だった。
レオニールは俺の質問に明らかに態度が変わった。
苛立ちながらも俺の質問に答えると、商品取引も無いままで即行で城から出された。
そして俺が月下城から出ると、城が"移動"を始めてそのまま消えてしまった……。
朝まで……まだ時間の余裕があるというのに……。
ここに……同じ地点に戻って来るのは一ヵ月後……。
「恨んでない」と言われたのがまだ救いか……。
しかし……
「この姿でも……レオニールを怒らせてしまった……。どうすれば良いんだ」
「……仕方ないですね。魔王様に僕がレオの好物を教えて上げますよ」
「……頼む」
俺は長年の自分の勘違いの間違いから、レイニードの好みは分かっても、レオニールの好みが分からない。
一応、一緒に居た期間があるにも関わらず、レオニールの好物を知らない俺にレイニードは呆れた顔をしてきた。
…しょうがないじゃないか…。俺は、レオニールをレイニードだと思って、レイニードの好む物をひたすら与えていたんだからな…。
そして、そんな俺にレイニードが教えてきた事とは……
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