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第4話 風紀委員室でイスがギシギシは出来るのか?
金曜日の放課後の風紀委員室。
だだいま休憩中だ。
内務部のメンバーは、新人のオレのいれたコーヒーを飲んでいた。
「明日デートしようよ、悠ちゃん」
オレのイスに半分腰かけている修 ちゃんが、顔を近づけてきた。
赤茶色の少し長いくせ毛に青色のたれ目の修ちゃんは、八巻修一郎 といい、オレの初等部時の友達で、肩書きは風紀委員内務部2年副班長だ。
元々、メガネくんだったから、カラコンは度入りだと思う。
日替わりで、瞳の色が違う。
途中で転校していたから、初等部の頃の面影はあまり残っていない。
それに何があったのかは知らないが、性格がかなり変わってしまっていた。
まのびした話し方が、ゆるいキャラにしていた。
「いい加減に自分とこにいってよ。……イスが壊れる」
と、オレ。
「大丈夫、大丈夫。このイスは男二人分の体重くらいささえられるから」
と、修ちゃん。
「そんなのわかんないじゃん」
「実証済みだから心配ないよん~。イスの上でぇ、けっこう激しく動いても、ギシギシいったけど、問題なし」
「ギシギシ……」
と、呆然とつぷやいた高槻くん。
黒髪に黒目で黒ぶちメガネをかけた高槻凛 くんは風紀委員内務部1年班長で、抜群の秘書力の持ち主で、オレの教育係りだ。
「悠 ちゃんも試してみる?」
と、修ちゃん。
「デートもギシギシもしない」
と、オレ。
「え~つまんない。デートはしようよぉ」
「浮気してると、チクってやるぞ」
と、橋爪が修ちゃんに言った。
オレの斜め右前に座っている橋爪は、茶髪に焦げ茶の目。内務部の中で一番の長身だ。
「恋人がかわいそう」
と、オレ。
「デートくらいで浮気になんないよ。だって、悠ちゃんとエッチしようと思わないもん」
「えっ、意外」
と、橋爪。
「悠ちゃんはおれにとって、犬とか猫みたいな感覚かなぁ。すこぶるよい血統書つきで、よく手入れされた毛並みに、世間知らずなお嬢様の処女猫みたいな?」
「さっぱりわからん」
と、橋爪。
オレも同感だ。
「あ、わかるぅ~。近寄りがたいんだけど、さわってみたい。ひっかかれても嬉しいみたいな?」
と、鈎沼くん。
明るい茶髪に大きな黒目。身長はオレくらいかな。
「そうそう。すりすりしたり、なでまわしたり、なめまわしたり、キスしまくったり」
と、修ちゃん。
「嫌がったら、よけいにさわりまくったりするぅ」
と、楽しそうな鈎沼くん。
「……変人」
と、高槻くん。
オレも同感です。
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