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第5話 風紀委員長と風紀副委員長は仲が悪そう
「てめぇら、しゃべくってうるせぇっ! 休憩、終わり」
パソコンを見たまんまの委員長が、イラついたのか大声をだした。
幼稚園からの腐れ縁の風紀委員長は、桐ノ院和孝 だ。
短髪黒髪で黒目。
切れ長の目に、成長して男らしい顔つきになったけど。
子供の頃は、小さくておどおどしていてかわいらしかった。
なのに、成長して、なんか人相が悪くなってしまっていた。
「は~い。悠ちゃん、また後でね」
と、修ちゃんはオレをぎゅっとバグしてから離れ、自分の机に戻っていった。
オレは自分のイスにきちんと座り直した。
ぬるくなってしまったインスタントコーヒーを飲んで、顔をあげた。
龍ヶ崎と目があった。
感情の読み取れない黒い目とかちあう。
オレの正面の机に座る龍ヶ崎広明 は、中等部から学園にきた帰国子弟で、クラスメイトで、風紀副委員長で、学園最大の親衛隊持ちだ。
そして、オレのことをオモチャ扱いしているオレのセフレ。
今週、ここに通ってわかったことは、龍ヶ崎は、ほんとしゃべらない。
挨拶もろくにしない。
必要最低限の会話。
でも、嫌々、風紀の仕事をしているようにはみえない。
オレみたいに、仕方なくやってる感じはしない。
だからといって、龍ヶ崎は、積極的に精力的に、業務をこなしているわけでもない。
たんたんと、適切に業務をこなしている感じがする。
「悠人、仕事のめどつきそう?」
と、龍ヶ崎。
ここでは、なぜか、オレのことを名前呼びする龍ヶ崎。
「委員長が書類を早く回してくれればね」
と、オレ。
「和孝、片付いた書類あったら回せ」
と、龍ヶ崎。
「生徒会に承認してもらう書類あんだけど」
と、委員長がひらりと、用紙が入ったクリアファイルを振った。
「で」
と、龍ヶ崎。
「生徒会に持ってって」
と、委員長。
「誰が?」
「おまえ」
「誰が?」
と、龍ヶ崎。
同じこと、2回言ったよ。
こえぇ。
委員長が体の向きを変えると、
「桜井、頼んだぞ」
と、オレの机にクリアファイルをおいた。
オレの斜めに委員長の机がある。
近いと雑用ばかり押しつけられる。
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