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第22話 言いたくないものは、言いたくないの

「メインディッシュがあるのに、ほかには食指が動かないよ」 と、龍ヶ崎。 ……オレは食べ物か。 「メインは別にオレじゃなくてもいいじゃん」 龍ヶ崎を本当に好きで抱かれたい、と思っている人の中から選んでくれ。 「すねてる?」 と、龍ヶ崎。 「はい?」 オレの何を見て、そう思う? 「悠人が『オレだけにして』て言ってくれたら、ほかは切るよ?」 むしろ、 「切らないで」 オレ一人で、こいつの相手は出来ないから。 切るなら、オレを切って欲しい。 禁欲してたわけじゃないから、龍ヶ崎にがっつかれることはない。 「オレだけにして、て言ってみて」 と、龍ヶ崎。 「オレだけにして」 「すごい棒読みー」 「言えって言われたから、言ったんだけど」 言うだけなら、大概は大丈夫。 「広明が好きは?」 「それはイヤ」 「さっきのと変わんないよ?」 復唱するだけだから、同じだけど。 嫌なもんは嫌だ。 「変なとこが律儀とかいうか頑固」 と、龍ヶ崎がオレを押し倒した。 「悠人の肌は白いよね」 脈絡のない唐突なセリフ。 誰かとくらべてる? なんか、ムカつく。 比較されるのは好きじゃない。 「おまえもな」 「何言っての? 悠人の肌の方が白いよ」 オレの左手首をスッとなぞりながら、 「ほら、血管が透けてる」 と、そこにキスをしてきた。 「いっ…」 痛い。 吸い付かれ、 「つぁ…」 そして、歯をたてられた。

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